資生堂は2024年11月29日、中長期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond 〜アクションプラン2025-2026〜」を発表した。同日、その説明会を開催。藤原憲太郎社長COO()は、25年、26年の2カ年で資生堂の事業基盤再構築に全力で取り組んでいく強い決意を示した。

変化の激しい市場でも安定的な利益拡大を実現するレジリエントな事業構造へと進化させるため「アクションプラン2025-2026」を推進し、コア営業利益率を24年の2倍となる7%を目指す。

最優先で取り組むのは、ブランドの基盤強化、高収益構造の確立、事業マネジメントの高度化の3点。

ブランド力の基盤強化では、売り上げ1000億円を超えるSHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテ、NARSのコア3、売り上げ1000億円を狙えるアネッサ、ナルシソ ロドリゲス、イッセイ ミヤケ、エリクシール、ドランク エレファントのネクスト5を注力ブランドと位置付け、その強化を図る。

そのために、24年比で2カ年累計300億円のマーケティング投資を追加。その一方で、収益性、成長性を見て、戦略的なブランドの撤退、縮小などの検討も進めていく。

高収益構造の確立においては、グローバルで固定費の低減、日本・米州・欧州・アジアパシフィックの収益性のさらなる改善、中国・トラベルリテールの事業基盤再構築が3本柱となる。

そのうち、転換を図っている中国・トラベルリテールにおいては、市場規模、成長性ともに中長期的には機会は大きく、持続的な利益拡大に向け事業基盤を再構築する。

「高齢化社会先進国である日本でシェアトップを走り、アジア人の肌を知り尽くした資生堂が、中国でこれから新たに提供できる価値がまだある」(藤原社長COO)との考えのもと、持続的な利益拡大に向け、ニーズの多様化をとらえたポートフォリオを再構築する。

その実行に当たり、ブランドホルダーサテライトオフィスの設置、ソーシャルマーケティング機能の強化を図り、市場の変化を迅速かつ的確にとらえ、戦略実行の機能強化を進めていく。

また、現地ニーズを深く理解するローカル人財の強みを生かしたブランド育成、オペレーショナルエクセレンスの追求によるリーンな組織、を両輪として、グローバルワンチームを構築し、持続的ブランド育成を図っていく。

力強くジャンプアップするためには、強固な地盤が必要。藤原社長COOは、「この2カ年で進めるすべてのアクションは、次の持続的な成長とグローバルカンパニーとして目指すべき収益性実現に向けた土台づくり」と述べた。資生堂は成長に向けた新たな第一歩を力強く踏み出した。

2025年1月1日付で社長CEOに就任

月刊『国際商業』2025年02月号掲載