中華圏からの撤退は考えていない

日本の化粧品産業は中国戦略の転換を迫られている。2010年代は訪日客を含む中国需要を取り込み、メーカー各社がうるおった。ところがコロナ後は状況が一変。経済低迷、化粧品規制、福島原発処理水問題などが重なり、日本勢の苦戦が続く。各社は中国事業の再編に取り組まざるを得ない状況だ。

特に資生堂、花王、コーセー、ポーラ・オルビスホールディングス(HD)の大手4社は、利益を生む事業構造へのシフトを急ぐ。それだけ中国事業は成長の足かせになっている。直近の24年12月期第3四半期決算を見ると、資生堂の中国事業は前年同期比8.0%減(実質外貨)で、減収が続く。花王の化粧品事業も、数字は非開示だが、流通在庫の適正化の影響もあり大幅な前年割れである。アジア、日本、欧州の堅調な成長を打ち消し、事業全体の赤字転落の要因になっている。一方、コーセーは中国事業の構造改革に伴い特別損失を計上。ポーラ・オルビスHDは海外事業の重点地域を中国にしていただけに、主力のポーラブランドが不振。海外事業全体がマイナスに陥っている。

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