資生堂が支援する化粧品専門店の若手経営者・後継者で組織する「NCC若手経営者の会(以下NCC)」は9月5日と6日の二日間、第35回全体会議を行った。NCCのミッションは化粧品専門店の社会的地位向上を実現すること。それに向けて、専門店の未来を描き、次世代の若き経営者のトップランナーを担う経営のプロ人材育成を目指す。NCCの高瀬直樹会長は「運営の目的は、学びの内容と成果指標を明確にして、たくさんのトップ経営者が育ち、業界を変える組織にすることだ。理念経営を学び、戦略をしっかり実行し、経営者が育つ環境をつくる」と意気込みを語った。

資生堂ジャパンの藤原憲太郎社長CEOは「2024年上期の専門店チャネルは予算を達成できた。メーカーの責任としてヒット商品をつくり、お客さまが商品を求めて来店するようにする。OMOではデジタル上でお客さまと接点をつくることがマストになる。皆さまのDXにもお役立ちしていきたい」と挨拶。プレステージブランド事業本部の堀井清美専門店営業本部長は「下期も専門店チャネルは元気です。24年の目標を達成し、25年に向かいたい」と語った。

第35回全体会議の目玉は、9月から12月末まで行うメイクアップブランド「インウイ」のチャレンジ施策である。売り上げや店頭活動の内容を総合的に判断し、上位店に賞品などを進呈する。

24年のインウイは月平均店頭売り上げが前年比二桁で伸長しているが、ブランド認知が低く、店舗間の売り上げ格差が大きい。NCC会員店も例外ではなく、月平均売り上げ30万円超の店は増えているが、依然として20万円以下も多い。

その中でトップクラスの数値を出しているのが、高瀬会長が経営する星の国(北海道)。月平均売り上げは100万円を超え、新商品が発売された8月は200万円台になった。毎月50人以上の新規客をインウイで獲得しており、NCCは星の国の事例を共有することでインウイ育成を加速させる考えだ。

理念経営の実践を目指す「経営者塾」では、理念に基づく戦略構築プロセスについて学習した。さらに資生堂との協働では再来店を成果指標に設定。店頭活動の強化で、NCC会員店はコミュニティ店、ターミナル店ともに上期の再来店実績が前年比二桁伸長を達成。全国平均を上回ったという。

月刊『国際商業』2024年11月号掲載