長らく見直しが議論されてきたサンスクリーンの表示がいよいよ改訂されようとしていることが、6月に開催されたCEAC24(欧州化粧品業界団体=CEの年次総会)で報告された。当たり前のように馴染んできたSPF表示に「待った」をかける大きな改訂は、2025年末から翌年を目標に、議論に拍車がかかっているという。その背景や見通しについて解説してみよう。

今日、日本でも広く普及しているSPF表示。これは、欧州連合(EU)が06年に発した勧告(2006/647/EC)に基づくものだという。「勧告」は、EU法の中では俗にソフト・ローなどとも呼ばれる強制力のないものではあるが、EU化粧品規則(こちらは強い拘束力あり)の中に含まれることもあり、ここで推奨されるテスト方法や表示ルールが、世界的に準拠されてきた。例えば、この勧告では、サンスクリーン製品は、紫外線B波に対してはSPF6以上の有効性があること、A波(波長がより長く、窓ガラスを通してでも肌のより深くまで浸透する)についてもB波に対する遮断力比で30%以上は遮ることとなどと規定され、同時に、何度も塗ること、過度な露出は避けることなどの注意書きも施すようにと推奨されている。しかしながら、約20年も前に制定されたものであることから、紫外線B波遮断性のテスト方法は古く、倫理面でも信頼性においても疑義があること、また紫外線A波に対する表示が不充分なことなど多くの問題が指摘されてきた。そこでいよいよ再考の気運に拍車がかかり、昨年11月にはロンドンで世界中の専門家を集めた学会が開かれた。今年中にEU加盟国の専門家による作業部会が集中的に議論し、改訂案作成は急ピッチで進んでいるところだ。

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