2023年6月、コロナ禍が明けて、3年ぶりにリアル開催となった欧州化粧品業界団体Cosmetics Europe(CE)の年次カンファレンスがブリュッセルで実施された。欧州勢が中心かと思いきや、北米やアジアはもちろん、オセアニア、南米、中東諸国からも、多くのメーカー、業界団体、研究者らが参加。欧州の消費者や規制当局が求める方向性は、世界に影響を与えるため、注視せざるをえないのだという。通訳を介さず、すべて英語のみで行われる多くの会議に、日本化粧品工業会(JCIA)はもちろん、資生堂、花王、コーセーなどから博士レベルの研究者や法務畑の精悦が多数出席していたのは頼もしかった。さまざまな側面における欧州(EU)や世界の動向をマーケティング的な観点から概観してみたい。今回は「日焼け止め」、つまり「紫外線防護(サンプロテクション)」の行方をさぐる。
CE内にサンプロテクション戦略アドバイザリーグループ(SAG SP)の設置が決められたのはコロナ禍の20年12月、早くも翌年4月には発足した。世界中のメーカーやシンクタンクの規制・法務専門家、科学者らによって構成され、花王も加わる。その使命の中核は、サンプロテクションについての国際的な標準測定方法を確立し、消費者にシンプルで直観的に正しく理解できるような表示方法を考案して知らしめ、人的および環境的安全性の観点からますます厳しくなる規制の中で、使用可能な紫外線フィルター成分の十分な選択肢があるようにR&Dを加速することだ。
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