花王は6月から、独自に開発した皮脂RNAモニタリング技術を用いて皮脂RNAの受託分析を行うサービスを、ヘルスケアシステムズ社を通じて開始する。

花王は、あぶら取りフィルムで顔の皮脂を採取し、そこからRNAを抽出して網羅的に解析する皮脂RNAモニタリング技術を構築している。同技術は、皮膚を傷つけることなく、約1万種におよぶ皮脂RNAの発現情報を検出することが可能だ。このRNA情報を活用することで、これまでに、肌や体の状態を推測したり、乳幼児アトピー性皮膚炎やパーキンソン病といった疾患の状態を分子レベルで把握できる可能性を報告しており、さまざまな研究用途で皮脂RNAモニタリング技術の活用が期待されている。

そこでこのたび花王は、皮脂RNAを受託分析するサービスの運用を、名古屋大学発ベンチャーで未病をテーマにした検査サービス事業を手がけるヘルスケアシステムズを通じて開始する。

皮脂RNAモニタリング技術を用いた受託分析は、検体(顔の皮脂)から皮脂RNAを採取し、NGS(次世代シーケンシング)を用いて網羅的に分析する、主に研究機関を対象としたサービスだ。非侵襲で簡便に検体を採取できるため、従来の方法よりも被験者への身体的・心理的負担が少ないことが最大のメリットで、幅広い場面での活用が期待される。検査の受託はヘルスケアシステムズが請け負い、花王は送付された検体を分析する。

花王は、皮脂RNAモニタリング技術が広く活用されることで、皮膚科学、健康科学、医療をはじめとするさまざまな領域での研究が深化すると考えている。さらに人々の肌や体の状態の精緻かつ客観的な理解が進むことで、最終的には生活者が自分に合う商品やサービスを的確に選択できるようになることが期待される。

今後、花王では皮脂RNAモニタリング技術をはじめとする独自の技術を、さまざまな分野の研究・製品開発に応用できるよう検討を進めていく。