王子ホールディングスの2024年3月期第3四半期の売上高は、前年同期比0.3%減の1兆2923億9700万円、営業利益は5.3%減の563億6300万円、経常利益は4.5%減の654億4600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は8.2%増の423億3000万円となり、減収減益となった。
売上高は、国内では価格修正の実施等を行ったものの、主にニュージーランドのPanPac Forest Products Ltd.の被災やパルプ市況悪化が影響し、減収となった。営業利益は、国内では物価上昇に伴う消費抑制を受けた減販等の影響を価格修正やコストダウン等で補ったが、主に海外でのパルプ市況の悪化により、減益となった。海外売上高比率については前年同期を4.1ポイント下回る34.5%となった。
セグメント別にみると、生活産業資材の売上高は前年同四半期比3.0%増の6124億円、営業利益は同3714.2%増の155億円となった。国内事業では、段ボール原紙・段ボール、白板紙、家庭紙等、多くの品種において物価上昇に伴う消費抑制により販売数量は減少したが、価格修正の実施により、売上高は前年に対し増収となった。また、紙おむつの売上高は、子供用おむつは前年並み、大人用おむつは前年に対し増収となった。海外事業では、東南アジア・オセアニアで更なる事業の拡大に注力しており、段ボール原紙は、2021年10月に稼働した新マシンの稼働率向上により、東南アジアで販売数量は増加したが、市況の悪化により、売上高は前年に対し減収となった。段ボールは、オセアニアで価格修正を実施したものの、東南アジアにおける需要低迷により、売上高は前年に対し減収となった。紙おむつは、マレーシアでの拡販により、売上高は前年に対し増収となった。
機能材の売上高は前年同四半期比3.8%増の1739億円、営業利益は同41.7%減の70億円となった。国内事業では、特殊紙は電子部品の需要低迷を受けて剥離原紙・剥離紙の販売数量は落ち込んだが、戦略商品である通販向けヒートシール紙等の拡販や価格修正の実施により、売上高は前年に対し増収となった。感熱紙は2022年下期から継続している顧客在庫調整により販売数量は減少したが、価格修正の実施により、売上高は増加した。海外事業では、感熱紙は需要低迷、金利上昇等による在庫削減の動きが顕在化し、販売数量は前年に対し減少したが、価格修正の実施等により、売上高は前年に対し増収となった。
資源環境ビジネスの売上高は前年同四半期比16.3%減の2712億円、営業利益は同64.2%減の171億円となった。国内事業では、溶解パルプの堅調な販売や、徳島での2022年12月のバイオマス発電所稼働開始による増収もあったが、木材事業で建設・梱包用の木材需要が低調に推移したことなどもあり、売上高は前年並みとなった。海外事業では、パルプ事業及び木材事業は、パルプ市況の悪化に加え、ニュージーランドのPan Pac ForestProducts Ltd.が2023年2月にサイクロン被害を受け、製造設備等が復旧途上であることにより、売上高は前年に対し減収となった。
印刷情報メディアの売上高は前年同四半期比9.1%増の2265億円、営業利益は同168億円増益の121億円となった。国内事業では、新聞用紙、印刷・情報用紙は需要の減少傾向が継続しているものの、価格修正の実施により、売上高は前年に対し増収となった。海外事業では、江蘇王子製紙有限公司において、ゼロコロナ政策終了後の経済回復が鈍く、売上高は前年並みとなった。
24年3月期の連結業績予想は、3.1%増の売上高1兆7600億円、3.3%減の820億円、5.3%減の900億円、親会社株主に帰属する当期純利益は0.9%増の570億円と、当初予想を据え置いた。