大王製紙の2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が7.3%増の3312億2800万円と増収、営業利益が74億2800万円、経常利益が54億600万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が39億2600万円と黒字転換した。

紙・板紙事業は、売上高5.3%増の1746億3800万円、セグメント利益は85億8600万円と黒字化した。新聞用紙は、発行部数及び頁数の減少により販売数量は前年同期より減少したが、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回った。洋紙事業(新聞用紙を除く)は、更なるグラフィック用紙の需要減少によってチラシやパンフレット用途の洋紙を中心に販売数量は前年同期より減少したが、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回った。板紙・段ボールは、食料品や日用品の値上げによって国内需要は鈍化し、輸出についても中国をはじめとする国際市場の停滞による需要減により販売数量は前年同期を下回ったが、国内での価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回った。

ホーム&パーソナルケア事業の売上高は11.4%増の1443億3300万円、セグメント利益は26億4300万円と欠損だったが赤字額は縮小(前年同四半期は45億5200万円の損失)。国内事業では、衛生用紙は、ソフトパックティシューや長尺トイレット等、市場のニーズに応じた付加価値品の販売により販売数量は横ばいで推移し、価格改定の浸透により金額は前年同期を上回った。国内事業全体としては、新型コロナウイルスの5類感染症移行に伴うマスクの需要減少等、市場環境の変化により販売数量が減少した商品カテゴリーがあったものの、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回った。

海外事業では、ブラジルは、各商品の価格改定の浸透に加え、フェミニンケア、ベビーケア、紙製品等の高付加価値品上市によるプレミアム化の進行によって販売金額は前年同期を上回った。また、トルコも、各商品の価格改定の浸透に加え、ベビーケア、ウエットティシュー、リキッド等の拡販によって販売金額は前年同期を上回った。一方、中国は、同国経済低迷の長期化により、ロックダウン後の実店舗からECへの消費動向の急激な変化や、プレミアム品からスタンダード品へのシフト等の影響もあり、販売金額は前年同期を大きく下回った。

2024 年3月期の通期連結業績予想については、売上高が前回予想から300億円減の6700億円(前期比3.7%増)、営業利益は40億円減の140億円、経常利益は10億円減の80億円、親会社株主に帰属する当期純利益は30億円減の10億円と、前回発表値から下方修正。利益は黒字で着地する見通しだ。

売上高と営業利益は、ホーム&パーソナルケア海外事業の中国において、長期的な同国経済の低迷やALPS処理水問題を起因とした日本製品の不買運動等による収益悪化をカバーすることはできず、前回発表値を下回る見込み。経常利益は為替が円安基調で推移したことから、在外子会社への融資に対する為替差益を計上したこと等により、期初予想並となる見込みだが、親会社株主に帰属する当期純利益は、堅調な国内事業に係る税金費用の増加、及びブラジル事業における非支配株主損益の増加等を見込んだことで期初の予想を下回る見込みだ。