小林製薬は、2月1日に2020年12月期通期業績について電話会議において明らかにした。

売上高は前年同期比4.9%減の1505億1400万円、営業利益は1.1%増の259億4300万円、経常利益は0.4%減の277億2600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は0.3%増の192億500万円だった。当期純利益は23期連続の増益となる。

売り上げは新型コロナの影響のほか、世界的な暖冬によるカイロの不振により減収となった。利益面は、広告宣伝費の効率化により42億円削減したことにより営業利益は底上げされた格好だ。

国内事業では、新型コロナ需要では除菌・衛生関連品を中心とする需要増で45億円の増収効果があったが、外出自粛や飲み会の減少、マスク着用による需要減でマイナス22億円。また、前期101億円あったインバウンド売り上げが16億円まで大幅に減少したことが響き、事業全体の売り上げは3.0%減の1193億円となった。

国際事業は、暖冬による北米でのカイロの不振、新型コロナの影響による香港、東南アジアがマイナスになったことにより12.1%減の214億円だった。ただ、中国ではECの強化に活路が見いだせそうだ。店頭売上高が23%減だったのに対し、越境も含むECの売上高は27%増。今後はライブコマースやKOLマーケティングの強化により成長を図っていく。

21年通期業績予想は、売上高は3.6%増の1560億円、営業利益は0.2%増の260億円、経常利益が0.3%減の278億円、親会社株主に帰属する当期純利益は1.5%増の195億円を見込む。

小林製薬では、新型コロナの影響を考慮し、20年度を初年度とする中期3カ年経営計画を見直し。最終年度の22年度売上高は1620億円以上、営業利益は270億円以上、国内事業売上高を1223億円以上、国際事業売上高を295億円以上、通販事業売上高を96億円以上にそれぞれ減額修正した。引き続き、①全社挙げて国際事業の成長に取り組む②既存事業のレベルアップ③ESG視点で経営を磨く④イノベーションや新規事業創出の土台作りの4点を軸に成長を目指すが、①については、新型コロナでの影響で、SNSやウェブ広告での告知、日本の店頭トライアル、中国国内EC・店頭でのリピート購入、SNSでの拡散といったサイクルが回せなくなったことから戦略を方向転換。中国本土でのライブコマースやCM動画を中心としたWEBマーケティングを強化し、ECでのトライアル購入獲得の精度を高めていくことに重心を置く。そのほか中国OTCおよび20年に買収した米国OTC企業Alva社の資産を生かした北米事業の強化を進める。これに合わせて組織もよりシンプルな体制に変更する。

一方でESG経営を強化。グリーン電力導入に着手し、仙台工場で使用する電力を100%再生可能エネルギーへ切り替え。今後も国内主要工場を中心にグリーン電力に切り替えていく方針だ。また、製品設計において環境負荷低減に寄与する独自基準を設け、条件を満たした製品にオリジナルマークを付与する「小林製薬製品開発エコ基準」の運用を21年より開始。消臭元は環境配慮型樹脂へ切り替えることで付与基準クリア。ブルーレットも含めた計88アイテムにマークを付与し、21年3月から順次発売するとともに、今後さらに増やしていく考えだ。