ポーラは、ブルーライトを過剰に浴びることで、筋細胞内において神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素、アセチルコリンエステラーゼの産生が促進されていることを解明し、さらにアセチルコリンエステラーゼの産生を抑制するエキスを見出した。過剰に産生されたアセチルコリンエステラーゼによるアセチルコリンの分解反応を抑制することで、筋細胞への神経伝達を正常化し、デジタル中心の生活で日常的に影響を受けているブルーライトによる筋収縮の抑制を軽減できる可能性がある。この知見は、ポーラから発売される製品に応用される。
アセチルコリンは、運動神経細胞から筋肉を構成する筋細胞へ神経信号を伝える神経伝達物質。図1のように①脳からの指示により放出されたアセチルコリンが、②筋細胞の受容体に結合することで、受容体が開き筋肉が収縮する。③アセチルコリンが信号を伝えた後は、筋細胞によって分泌されたアセチルコリンエステラーゼの作用によって分解される。神経伝達物質の働きに応じ筋収縮が正しく起こることで、筋肉をスムーズに動かすことができる。
ブルーライトはスマートフォンやパソコン、太陽光から日常的に浴びる光で、可視光線の中でも短波長であることから目に対する直接的なダメージが懸念されている。今回新たに、骨格筋の細胞に対してブルーライト(425 nm~495 nm)を照射し、アセチルコリンエステラーゼを定量する試験を行い、非照射と比較して細胞内アセチルコリンエステラーゼ産生が約4倍促進されることが明らかとなった(図2)。このことから、正常な状態では筋細胞表面で機能していたアセチルコリンが、増加したアセチルコリンエステラーゼにより、アセチルコリンが神経信号を伝える前に分解されてしまい、筋収縮が起こりにくくなる可能性が考えられる。
アセチルコリンエステラーゼの活性を抑制することを目的に、アセチルコリンエステラーゼ酵素反応阻害作用をもつ素材を探索した。その結果、マキベリーエキスとカシスエキスにおいて、アセチルコリンエステラーゼの阻害活性が認められた(図3)。
眼精疲労症状を自覚する方を対象に、マキベリーエキス、カシスエキスを含むサプリメントを12週飲用する試験を行った結果、目の開閉に関わるアンケート項目において飲用前後で効果実感が得られた。マキベリーとカシスを飲用することによりデジタル中心の生活においても無理なくぱっちりとした目元実感が実現できる可能性がある。(補足資料1)