花王は9月19日、成長ドライバーとして位置付けるBtoB衛生事業戦略説明会を同社本社において開催した。同事業を手掛けるグループ会社の花王プロフェッショナル・サービス(KPS)として、中期経営戦略K27における数値目標として2022年比120%の500億円を目指すことを明らかにした。家庭以外の全ての領域を活動の場とし、一人一人の生活者が、あらゆる場面で快適に安心して過ごせる環境を構築していく。

強みとするのは、グループ力を生かし、広く認知される花王の家庭品ブランドとKPS専用品の両輪で品ぞろえや提案ができることだ。その片輪となるKPS製品を生み出す研究開発体制もグループの総合力を基盤にしている。具体的には基盤技術研究と製品開発の研究のフル活用が可能なのに加えて、衛生化学を包括的に研究する花王の衛生科学研究センターの知見も取り入れることができる。さらに、和歌山県にKPS製品を独自研究する専任の研究室も保有し、顧客ニーズに沿った製品の開発も進めている。

事業の中心となるのは、外食の厨房・フロア清掃、食品加工工場への衛生剤の提供といったフードサービスが売り上げの50%を占める。そのほかが、医療施設・介護施設、宿泊レジャー施設に対する衛生の提案および剤の提供となっている。同社では、コロナ禍を経た生活者の衛生意識の高まりを追い風に、フード以外の分野で成長を目指す考えだ。

成長するのにあたり、KPSでは①アセスメント②労働負荷低減③環境負荷低減の三つの価値を提供していく。①では、今年1月に新設した新会社「キラリアハイジーン株式会社」(KPS100%子会社)により、モニタリング、マニュアル、トレーニング、認証の四つの提案で働く従業員の安心感と納得性を獲得する。②では、KPSの製品群により、職場環境の改善で、製品・サービス提供先の働きやすさを実現する。③では、花王のグループ会社としてSDGs視点のものづくりを追求する。

KPSの小澤正明社長は、「これら三つの価値提供で、K27のビジョンで掲げる未来の命を守ることに貢献していきたい」と意気込みを語った。

小澤正明社長

KPSの活躍の場は多岐にわたる

月刊『国際商業』2023年11月号掲載