ライオンは、職域における歯とお口の健康教育に力を入れており、同社従業員に対しても、定期的にオーラルケアに関する研修や実践の働きかけを実施している。特に新入社員に対しては毎年、研修プログラムでの啓発に加えてオーラルケア製品を配付し、ケアへの意識が高まったタイミングでしっかりと行動変容に繋げられるよう取り組んでいる。本年の研修では、オーラルケアに関する基礎知識に加え、習慣づくりに関する講義を行った。その結果、研修後には1日3回歯みがきをする割合が97%(研修前の1.6倍)、デンタルフロスを週1回以上使用する割合が72%(研修前の1.5倍)、洗口剤を週1回以上使用する割合が74%(研修前の1.5倍)まで上昇した。

研修は、2部構成にて約1時間、実施した。第1部は「今日から始める予防歯科」というテーマで、歯科衛生士がむし歯の発生メカニズムや歯のみがき方などの基礎的な内容を説明。第2部は、マーケティング担当者から同社が大切にしている「より良い習慣づくり」というテーマで、オーラルケアなどの習慣づくりのメリットやコツについて講義を行い、研修後に簡単なアンケートを聴取した。またその際、オーラルケア製品(携帯用歯みがきセット、デンタルフロス、洗口剤を配付し、1ヵ月後に再度アンケートを実施した。

■新入社員を対象にした研修実施結果
(1)平日の1日3回以上の歯みがき実施率が60%から97%(1.6倍)に増加
平日の1日3回以上の歯みがき実施率は研修実施前では60%だったのに対し、研修1ヵ月後で97%に増加した(図1)。本結果は、アンケートを開始した2021年からの3年間で最も高い値となった(表1)。本研修では毎年、むし歯や歯周病予防だけでなく、笑顔などの見た目の印象や口臭対策の観点からもオーラルケアが重要であることを解説。また、研修と合わせて、携帯用歯みがきセットなどを配付することで、歯みがき回数の増加に繋がることを確認した。

図1

表1

(2)歯みがき実施率が過去最高の97%
今年、例年以上に研修1ヵ月後の歯みがき実施率が高かったのは、歯みがき環境の整備が寄与したと考えられる。2023年オープンの新本社には、歯みがき専用水栓(図2)が設置されており、新入社員から「昼食後の歯みがきが実施しやすかった」という声もあった。このような環境整備によってより多くの行動変容に繋がったと推察している。

図2

(3)デンタルフロス、洗口剤の週1回以上の使用率が70%以上(1.5倍)に増加
研修で配付したデンタルフロスの週1回以上の使用率は、研修前の49%から72%まで増加し、さらに、洗口剤の週1回以上の使用率は、49%から74%まで増加した(図3)。これらは過去3年間の結果と比較しても、ほぼ同様の傾向であった。

図3

配付を行わなかった舌クリーナーの週1回以上の使用率は、研修前の26%から42%に増加したものの、配付を行った昨年と比較すると増加幅は少ない結果となった(表2)。これらのことから、啓発に加え、ケアへの意識が上がったタイミングですぐに行動を移せるようにグッズを配布することが、習慣化に効果的であると考えられる。

表2

本研修は同社のパーパスである「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」の実践の一環でもある。新入社員はオーラルケア行動の習慣づくりへの挑戦を通じて、より良い習慣をつくることの意味やメリット、その難しさなど様々な気づきを得ることに繋がった(図4)。この学びをお客様のより良い習慣づくりに貢献する製品、サービスの提供に活かしていく。

図4

同社は、次年度以降も継続して新入社員研修プログラムを実施し、オーラルケアの習慣化が促進できるよう、内容をより良いものに改善していく予定だ。また、新入社員だけではなく、新本社に従業員の健康増進を目的として設置されたGENKIアクションルーム(図5)を活用し、オーラルケア啓発イベントの開催なども行っていく予定。今後とも全従業員のヘルスリテラシー向上と口腔健康の維持改善を図っていく。

図5

同社では、今後とも社内に留まらず、より多くの人・企業に歯とお口の健康の重要性を伝える活動を強化し、人々の口腔健康の実現を目指していく。