花王の2023年12月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比0.6%増の7385億2800万円、営業利益は51.7%減の259億円、税引前利益は52.6%減の286億3900万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は57.3%減の166億2400万円となり、増収減益となった。原材料の上昇分は戦略的値上げで吸収したものの、中国でのベビー用紙おむつ事業の自工場生産の終了に伴う費用として80億円を計上、化粧品事業でブランドポートフォリオの入れ替えのため5億円の構造改革費用を計上した影響で、大幅な減益となった。通期業績予想も下方修正した。
コンシューマープロダクツ事業の売上高は前年同期比3.6%増の5769億円。営業利益は原材料価格の上昇は戦略的値上げの実施により吸収したが、減損損失を含む構造改革費用86億円の計上の影響などにより、前年同期比191億円減の143億円となった。
ハイジーン&リビングケア事業の売上高は3.1%増の2457億円。営業利益は中国でのベビー用紙おむつ事業の自工場生産の終了に伴う費用として80億円を計上し、前年同期比113億円減の18億円となった。ファブリックケアは、日本で衣料用洗剤の積極的な商品提案と値上げが大きく貢献し、前年を上回った。消臭タイプの柔軟仕上げ剤は認知が拡大した。ホームケアは、外出機会増加による市場縮小の影響を受けるも、食器用洗剤の値上げとシェア伸長が寄与し、前年並みを維持した。
サニタリー製品は、生理用品が好調で、日本でマーケティングを刷新し、売り上げ・シェアが伸長。中国とインドネシアでも前年を上回った。一方、ベビー用紙おむつは、日本とインドネシアで順調に推移したものの、中国は市場縮小や競争激化により売り上げは前年同期を下回った。
ヘルス&ビューティケア事業の売上高は6.8%増の1888億円、営業利益は前年同期比22億円減の160億円。スキンケアは、UVケアやメイク落としの新製品が好調で前年を上回った。日本では、「ビオレ瞬感ミストUV」などシーズン品の売り上げ・シェア伸長や、「ビオレザクレンズ オイルメイク落とし」が大きくけん引し、前年を上回った。米州は昨年の物流混乱の反動で伸長した。
ヘアケアは、ヘアサロン向け製品が順調で前年を上回った。マスヘアケアは、日本で厳しいい競争環境が続いているが、新しいマーケティング手法で「エッセンシャル」バリアシリーズがヒット。ヘアサロン向けの「ORIBE」がEC中心に好調だった。
ライフケア事業の売上高は3.3%増の267億円、営業損益が11億円(前年同期は営業損益1億円)。業務用衛生製品は、市場回復が回復したが、消毒剤市場の縮小の影響を受けた。健康飲料はEコマースのロイヤルユーザーを拡大した。
化粧品事業の売上高は0.2%減の1158億円、営業損益は25億円(前年同期は営業利益22億円)。日本市場は回復基調の中、G11のセルアウトが市場を上回った。「KANEBO」「KATE」は前年同期比2桁の伸長で、成長をけん引。「SUQQU」は日本販売は2桁伸長したが、韓国免税取引規制の影響を受け前年割れとなった。中国市場は、「freeplus」のリブランディング後、セルアウトは1桁後半で推移。「Curel」は618の天猫旗艦店売り上げが前年同期比30%と好調だった。欧州市場はインフレの継続により市場は低調だが、「MOLTON BROWN」の直営旗艦店、ホテルアメニティが順調。「SENSAI」はASマイクロムースウォッシュを4月に発売した。
23年12月期の通期業績予想は、約600億円の構造改革費用を計上する見通しとなり、売上高は1.9%増の1兆5800億円、営業利益は45.5%減の600億円、税引前利益は47.3%減の610億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は52.3%減の410億円と、下方修正した。