商品と体験のセットでブランドの個性を伝える

――コロナ3年目の2022年、ビジネスの状況はいかがでしたか。

村上 コロナの影響を受けた市場は、想定よりも回復が遅れています。また、国・地域によって四半期ごとに状況が大きく変わったことも、強く印象に残っています。例えば、日本市場は、第7波が起きた第1四半期(1〜3月)は厳しかったですが、4月以降は回復基調が続き、特に下期は前年比約106%の伸長を見せています。一方、中国市場はその反対で、第1四半期までは好調に推移しましたが、4月以降は上海のロックダウンなどもあり前年割れの状況が続いています。欧州市場も上期は堅調でしたが、地政学的リスクなどの影響によりインフレが加速。9月頃から急激に消費が鈍っています。このようにわれわれの想定よりも市場が停滞した分、花王グループの化粧品事業の売上高においても想定していたよりは難しい状況でした。しかし、デジタルシフトの加速、メイクブランドの返品抑制・廃棄削減、花王とカネボウ化粧品のビューティカウンセリング会社の統合などの構造改革が順調に進んでいることもあり、利益面はほぼ計画通りで着地する見込みです。

村上由泰 花王常務執行役員(DX戦略部門統括)

――グローバル市場で戦う11ブランド(G11)に限ると、売上高は二桁成長になっています。

村上 花王全体の化粧品事業に占める構成を見ると、G11は16年の約4割から22年は約7割まで拡大しています。投資の選択と集中が進んだことで、一つ一つのブランドが強くなったことは間違いありません。G11の成長を象徴するのは、プレステージブランド「KANEBO」とメイクアップブランド「KATE」、グローバルラグジュアリーブランド「SENSAI」です。それぞれのブランドパーパス(存在意義)に基づいた価値を提案することで、お客さまの支持をいただいております。

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