デジタルシフトの加速でUX創造企業に進化
――コロナ禍を危機ではなく機会と捉え化粧品事業を強くする、とおっしゃっていました。2021年はどのような成果がありましたか。
村上 「デジタルシフトの加速」「構造改革」「インバウンド依存からの脱却」という三つの課題に取り組み、少しずつ化粧品事業が強くなった手応えを感じています。日本市場については、当初、私たちは20年比4%増と予測していましたが、残念ながら微減で着地すると見込んでいます。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が続き、特にメイクアップカテゴリーの回復が遅れていることが響きました。一方、欧州市場は非常に堅調で、グローバルプレステージブランド「SENSAI(センサイ)」が好調に推移、英国発のブランド「MOLTON BROWN(モルトンブラウン)」もOMO戦略に力を入れたことで成長しています。また、中国市場も活況です。花王は「フリープラス」「キュレル」を軸に、市場の成長を上回る実績が続いています。中国本土での顧客づくりが軌道に乗り、「インバウンド依存からの脱却」も進みました。花王の化粧品事業は、日本の回復の遅れを欧州と中国がカバーすることで、前年をわずかに上回る業績を残すことができそうです。
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