値上げした商品の販売数量が伸びるか

2023年の日用品業界は、引き続き原材料高騰への対応に追われるだろう。業界首位の花王は22年12月期第3四半期に、コンシューマープロダクツ事業の原材料価格のマイナスインパクト(年間)を400億円から430億円に引き上げた。天然油脂価格の下落により、油脂由来原料の価格は落ち着くものの、石化原料、石化包材、紙パルプなどは高値が続いている。花王は日用品業界の先陣を切って、高付加価値化、ダウンサイジング、販促費効率化、単純値上げなどを組み合わせた戦略的値上げを宣言し、取り組みを加速している。

例えば、22年上期は日本でファブリックケアとベビー用紙おむつ、海外で衣料用洗剤、スキンケア製品などの値上げを行い、合計40億円の効果を生んだ。第3四半期は衣料用洗剤の値上げを加速し、第4四半期はスキンケア、ヘアケアでさらに値上げを拡大。通期では国内90億円、海外60億円の合計150億円の値上げ効果を見込んでいる。花王以外でも、例えばユニ・チャームは22年12月期に363億円のマイナスインパクトを見込む。4月にペットケア、9月にウェルネスケアの大人用おむつで値上げを行い、22年第3四半期の利益を支えた。市場シェアの高いブランドを持つ企業は、未曾有の事態に対応できている。逆に、シェアが低いブランドほど、小売業と生活者の支持を得るのに苦労している。

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