中価格帯の強化に資生堂とコーセーが本腰
2023年の化粧品業界は、大手メーカーの動きが活発になるのではないか。各社の社長交代が重なり、積極果敢な戦略が期待できるからだ。23年1月1日、資生堂社長COOに藤原憲太郎氏、ポーラ・オルビスHD社長に横手喜一氏が就いた。花王の化粧品事業部門長とカネボウ化粧品社長も代わり、前澤洋介氏が就任した。3人の共通点は、プレステージブランドと海外事業に携わっていたことである。これらの人事からメーカーが海外市場での成長に力を注ぐことが分かる。しかし、海外市場で勝つには、母国の日本市場でブランドが存在感を放つことも必須条件であろう。資生堂、花王、ポーラ・オルビスHDが攻勢に出れば、コーセーも黙ってはいない。花王の試算によると、22年の国内化粧品市場は前年比102%の1兆1300億円。下げ止まり感は強いものの、コロナ前と比べて約3000億円が吹き飛んだままである。大手メーカーの競争が激しくなる23年は、市場回復が期待できるのではないか。
そのなかでも大手メーカーは中価格帯ブランドの復活が至上命題である。広告プロモーションに力が入り、それが市場活性化に一役買っている。例えば、22年9月21日にリニューアル発売した資生堂の「エリクシール」は、テレビ、新聞、雑誌、デジタルなど、多様な生活者との接点でコミュニケーションを展開。22年9月21日から10月31日までの購買客数は前年比10%台後半に達した。前回のリニューアル(18年)を上回る数字を残し、 ブランドの勢いは回復基調にある。
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