ファンケルの研究開発体制は、大きく変わるかもしれない。2022年10月1日付の人事で、総合研究所の所長に若山和正上席執行役員が就いた。同氏は、これまで化粧品事業、健康食品事業、海外事業を経験。専門領域がマーケティング分野だっただけに、総合研究所所長への就任は誰にとっても想定外のことだった。だが、ファンケルの使命は、生活者視点に立ち、正義感を持って世の中の不を解消すること。若山上席執行役員は、多様な事業を通して国内、海外の生活者を見続けている。そこから得た知識と経験は、ファンケルの研究開発力を高める起爆剤になるかもしれない。総合研究所をどう率いるのか、若山上席執行役員に話を聞いた。

ファンケルの総合研究所(神奈川県横浜市)。顧客起点の研究強化を推し進める

研究者の個性を組織一丸で支援

――ファンケルの総合研究所をどのように進化させますか。

若山 私は文系出身で、マーケティング畑で育ちましたから、今回の人事は青天の霹靂だったんです。でも、冷静に考えると、研究開発は、会社の成長を考える上で、一丁目一番地の存在。中長期的な視座に立って、ファンケルらしい研究開発力を育むことは重責ですが、ワクワクしているところです。私の知識とノウハウの中で研究所に還元できるのは、マーケティングと組織マネジメントの二つだと思うんです。例えば、目の前の数字を意識し過ぎるのではなく、10年後のありたい姿を考え、バックキャスティングで研究テーマを設定し、研究に打ち込む。そのためには、社会や生活者の変化を予測し、「不満」「不安」「不便」の仮説を立てる。それらの解消に向けて、研究をすることがファンケルらしい価値の創出につながると思うのです。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

ログイン