アルビオンの国際事業本部は、事業構造改革に挑んでいる。きっかけは、新型コロナに伴う市場環境および生活者のニーズ、行動の変化である。国内では顧客接点の転換、デジタル活用の強化、OMOへのシフトを加速。海外では「アルビオン」ブランドの中華圏市場の開拓に本腰を入れている。いずれも、次の時代を見据え、ブランド価値を磨き直す取り組みだ。常務取締役国際事業本部本部長の小林勇介氏に戦略への思いを聞いた。
アナ スイの顧客接点は「OMOプラス地方」に移行
――2021年の化粧品市場は、新型コロナの影響を大きく受けました。アルビオンの国際事業の状況はいかがでしたか。
小林 確かに、コロナ以前に比べて、人々の生活、行動は大きく変わっています。当社の国際事業は、「アナ スイ コスメティックス(アナ スイ)」「ポール & ジョー ボーテ(P&J)」「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(ラデュレ)」という三つのライセンスブランドを展開してきましたが、コロナの逆風を受けているのは事実です。しかし、お客さまの買い物行動が様変わりし、従来のリアル店舗を中心としたビジネスモデルが難しくなるなか、無理に業績を追うのは得策ではありません。むしろ、21年は、それぞれのブランドの個性を引き出し、新たな成長モデルを構築するために、国際事業本部の戦略を抜本的に見直す、良い機会になったと思っています。大きな決断の一つは、12年から取り扱っているラデュレのライセンス契約を21年12月に終了したことです。22年6月までに順次店舗やECを閉店し、販売を終えるのですが、花びらチークなど、人気のある商品が欲しい、とたくさんのお客さまが店頭に足を運んでくださいました。ブランドへのお礼を綴ったお手紙もいただきました。ラデュレの化粧品を愛してくださったお客さまが多いことには、感謝しております。このようなブランドを愛するお客さまを増やせるよう、アナ スイ、P&Jでも抜本的な事業構造改革を進めています。
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