ライオンは、骨太の方針2022で「生涯を通じた歯科健診の充実(国民皆歯科健診)の具体的な検討」が掲げられたことを受け、「歯科医院で受ける歯科健診」に関する意識調査を行った。その結果、「1年に1回以上定期的に歯科健診を受けている人」は44%であった。定期的受診者の「歯科健診に対する満足度」や「歯やお口の健康に対する満足度」は高く、セルフケアにも積極的である傾向が見られた。反面、歯科健診を受けていない人の86%は、「歯科健診の内容をよく理解していない」と答えており、歯科健診の内容を知らないことが受診しない理由の一つではないかと推察された。歯科健診受診率の向上のためには、非受診者に歯科健診の内容やメリットを伝えるほか、様々な角度からの取り組みが必要と考えられる。
また、Z世代に含まれる15~19歳の人は、他年代に比べて、歯科医院に対して「好き」「心地よい」などのポジティブなイメージを持っていることがわかった。この背景には、15~19歳のむし歯のある人が年々低下しており歯科医院の治療で「痛い思い」をした経験が少ないことが推察される。
【調査概要】
・期間:2022年9月28日~10月3日
・方法:インターネット調査
・対象:15~69歳 男女計1000名
【調査結果詳細】
(1)「歯科医院で1年に1回以上定期的に歯科健診を受けている」人は44%
歯科医院で1年に1回以上定期的に歯科健診を受けている人(定期的受診者)は44%で、女性の方が男性に比べて受診率が高い結果だった(図1)。また、30代以降で10代、20代より受診率が高まる傾向が見られ、60代の受診率が一番高いことがわかった。歯のトラブルが増え歯科医院を受診したのをきっかけに、定期健診に通うようになったことが要因のひとつとして考えられる。
図1
(2)歯科医院で1年に1回以上歯科健診を受けている人は、8割が歯科健診に満足、7割が歯やお口の健康についても満足。セルフケアにも積極的
歯科医院で1年に1回以上定期的に歯科健診を受けている人(定期的受診者)の85%が歯科健診への満足度が高く、不定期に歯科健診を受診している人よりも30%以上満足度が高いことがわかった(図2)。また、定期的受診者の約70%はお口の健康についても満足しており、非受診者よりもお口の健康への満足度が高い結果であった(図3)。さらに、定期的受診者は、自宅でのセルフケアにも積極的で、洗口剤、デンタルフロス、歯間ブラシの使用率が、非受診者よりも高くなった(図4)。定期的受診者は、セルフケアも積極的にしており、お口の健康満足度も高い結果となった。
図2
図3
図4
(3)歯科医院で歯科健診を受けていない人の86%は「歯科健診の内容がよくわからない」と回答
非受診者において、「歯科健診の内容がよくわからない」と答えた人は、どちらともいえないと回答した人も含めると86%であった(図5)。そこで、「歯科健診でむし歯や歯周病などの予防処置をしてくれるなら、定期健診を受けたいと思うか」と質問した結果、27%が健診に行くと答えた(図6)。健診内容や健診のメリットである「予防」ができることを伝えることで、受診率向上につながる可能性が示唆された。
図5
図6
(4) Z世代に含まれる15~19歳は他の年代に比べ歯科医院に対してポジティブなイメージ
Z世代に含まれる15~19歳は、歯科医院のイメージとして「好き」「心地よい」など他年代よりポジティブなイメージが比較的高く、「痛い思いをする所」は低い結果であることが分かった(図7)。その理由は、若年世代のむし歯罹患者は年々減少傾向で、1993年は100%近かった罹患率が2016年は約半数の50%となっている(図8)。むし歯が無いため、むし歯の治療をしたことがない若者も多く、歯科医院へのネガティブな印象が少ないなどが考えられる。そのため、歯科医院を受診するハードルも低く、無理なく歯科健診を続けられるのではないかと期待される。
図7
図8