ロート製薬は、マザー工場である「上野テクノセンター」(三重県伊賀市)において、質の高い一般用医薬品へのニーズ拡大や高機能化粧品への期待といった需要拡大を見据え、生産能力の向上と国際的な医薬品製造基準への対応を目的とした新工場棟を竣工し、9月から稼働を開始したと発表した。

1999年に操業が始まった上野テクノセンターでは、ロート製薬の主力商品である「Vロートプレミアム」などの目薬をはじめとする一般用医薬品や、「肌ラボ極潤ヒアルロン液」などのスキンケア製品を生産しており、品質管理・物流の拠点となるマザー工場として機能している。

上野テクノセンター敷地内に竣工した新工場棟の名称は「上野テクノセンターC棟」。4階建てで、敷地面積は約2万7500平米、延床面積は1万9600平米、投資額は85億円だ。生産品目は、「肌ラボ」「スキンアクア」「メンソレータムAD」「メンソレータムメディクイック」「メンソレータムエクシブ」「リグロ」など肌に関連した一般用医薬品、医薬部外品、化粧品だ。

新工場棟「上野テクノセンターC棟」

今回の設備増強により、上野テクノセンターは、これまでの1.5倍の生産能力となる(2024年度見込み)。新工場棟は「人と環境にやさしいスマート工場」をコンセプトに、I・IoTやAIを活用したサイバーフィジカルシステム(CPS)を実装することにより生産性の向上、その先の製造における「人が活きる」働き方を目指す。

具体的には、全方位カメラやセンサなどのI・IoTデバイスを活用し、異常行動や危険な作業や場所への侵入および製造設備との接近を検知し、作業者本人だけでなく、管理者へリアルタイムに通知する集中管理システムの構築を行い、労働災害の予防措置をとっている。協働ロボットの導入により、人とロボットのそれぞれの強みを生かすライン構築を進め、徹底的に無駄を排除した作業工程や省力化が可能となった。

高品質の製品を安定してより効率的に生産することを目的として、製造プロセスにおけるCPSを活用。センサやカメラによるIoT化から得られたデータと生産計画がCPSで連携することで、作業の効率化及び自動化を実現し人の肉体的負荷を軽減、自動倉庫における在庫管理の最適化およびリードタイムの短縮を実現する。今後もCPSをさらに拡張させ、お客のさらなる価値貢献につなげていく。

また、地中熱や最新の省エネ設備を導入した再生可能エネルギーの活用による環境負荷低減に取り組んでいく。エネルギー消費量20%削減(既存工場比)を掲げ、地中熱、太陽光などの再生可能エネルギーを積極的に活用し、省エネ機器を導入。国内のみならず海外へ向けた生産拠点として、国際的な基準であるPIC/S(医薬品査察協定および医薬品査察共同スキーム)GMPに準拠した品質保証体制を構築している。

さらに、主に地域の小学生など、親子向けの見学通路を設置。製品ができるまでの「ものづくりのおもしろさ」を楽しく学びながら、工場での仕事に触れることがでいる。家族で快適に過ごせるよう、小さな子ども向けのキッズトイレやおむつ替えコーナーなども設置している。今後ロート社員による大人も子どもも学べる体験型ワークショップとして、楽しくヘルスサイエンスに触れる機会の提供を予定だ。

上野テクノセンター