ロート製薬の2021年3月期通期業績は、売上高が3.7%減の1812億8700万円だった。前連結会計年度末に子会社となった日本点眼薬研究所の売り上げが寄与したものの、世界的に新型コロナの影響が長引いていることにより減収となった。利益面では、売り上げ減に加え、研究開発費の増加により、営業利益が0.4%減の229億9000万円とほぼ横ばいを確保した。経常利益は受取配当金の増加などにより5.2%増の239億1000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8.6%増の167億4300万円といずれも過去最高を更新した。
地域別では、日本が売上高0.1%減の1156億2900万円、営業利益は1.3%減の229億9000万円。日焼け止め、リップクリーム、コンタクト関連品が減収だったものの、デオコやメラノCCなど話題の商品が堅調に推移したほか、日本点眼薬研究所、クオリテックファーマなどが貢献したことでほぼ横ばいとなった。アジアは、売上高9.3%減の480億5600万円、営業利益4.1%減の69億2600万円。主力の中国が17%減、香港が10%減と苦戦したものの、インドネシア、ベトナムは業務改革が奏功したことでそれぞれ17%増、2%増、台湾も2%増と伸長したことが下支えした。アメリカは、売上高15.7%減の76億8700万円と減収だったものの、営業利益は61.5%増の4億5800万円と増益。ヨーロッパも売り上げこそ6.8%減の81億4900万円と減収だったが、営業利益は72.6%増の3億7500万円。両エリアとも広告宣伝費の効率的な活用により大幅な増益となった。
22年3月期は新収益認識基準適用。通期業績は売上高0.4%増の1820億円、営業利益0.5%増の231億円、経常利益が横ばいの239億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2.1%増の171億円を予想する。新型コロナの影響は続くものの、日本、アジアを中心に回復が期待されることから増収を見込むが、日本において研究開発費増加など将来に向けた投資として143億円を計上していることなどから、営業利益の伸び率は微増となる。
決算説明会に置いて登壇した杉本雅史社長は、コアとなるOTCで引き続きリーディングカンパニーを目指す方針を示したほか、「機能性食品分野を、OTC、スキンケアに次ぐエビデンスと信用に基づく第3の柱に育成するために戦略を構築中」と語り、販路拡大や研究開発を加速させていく考えだ。
スキンケア分野では主力のオバジブランドが今年6月に20周年を迎える。それに先立ち3月にはベース処方を刷新。今後も医薬品メーカーならではの開発力や製造技術を生かし、進化するロングセラーコスメとしてさらなる飛躍を期待する。
最後にあいさつに立った山田邦雄会長は「生活者のヘルスケアに対する関心、ニーズは飛躍的に高まっており、ヘルスケア企業としてさらなる成長につながるチャンス。Connect for Well‐beingのミッションのもと今後もさらにさまざまな事業に取り組んでいく」と述べた。