成長への期待を示す売り場拡大の動き
コロナ禍のダメージを受けた化粧品販売。その中にあっても、地域に根づき、顧客づくりを積み重ねてきた化粧品専門店は業績が回復している。例えば、仙台のSUKIYAの売り上げは2019年の水準に戻り、広島のフランス屋も21年には19年並みに到達。同じく広島のLOOKもコロナ前を超える実績を残している。これら化粧品専門店の業績は、コーセーのハイプレステージ「コスメデコルテ」の躍進が下支えしている。同ブランドの22年上期の売り上げ(日本)は、前年同期比130%の128億円。製販一体の取り組みは好循環に入っている。
化粧品専門店がコスメデコルテ強化に動くのは、いくつかの理由がある。一つは商品政策への支持が高まっていることだ。直近を見ても、21年9月発売の美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」は累計出荷数が75万本(22年6月末時点)に達するなど、大ヒット商品になった。22年2月発売のスキンケアライン「イドラクラリティ」も二類愛用者が増え続け、15年以降にデビューしたスキンケアラインの中で過去最高の実績となった。ヒット商品の連発により、若年層の獲得が加速し、ブランド全体の実績を押し上げている。ただ、化粧品専門店の経営者がコスメデコルテに着目するのは、立て続けにヒット商品が生まれているからではない。LOOKの岡崎芳明社長は「コーセーは商品へのこだわりが強く、納得いくまで新商品を出さない。その考えを守り続けたことで、コスメデコルテの商品は完成形に近づいているのではないか」と指摘する。専門店の経営者は、ブランド育成への姿勢を信頼しているのだ。
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