貝印は3月11日、“紙カミソリから学ぼう”をテーマに「プラスチック資源循環法と紙カミソリから考えるものづくり」特別授業を玉川学園中学部(東京都町田市)にて開催した。特別授業は、玉川学園中学部技術・家庭科技術分野担当の山田真也教諭が、貝印の「紙カミソリ」の情報をインターネットで見つけ、貝印に問い合わせたことから実現。

なお、「紙カミソリ」(4グラム・152円)は、昨年よりテスト販売を行い、アップデートしたものを3月22日から順次、全国発売する。「紙カミソリ」は、貝印の従来品と比べプラスチック使用量を98%削減することに成功したカミソリで、同社は“新しい選択肢”として、同商品は訴求する考えだ。

紙カミソリ

今回の特別授業に先立ち、玉川学園中学部の生徒には山田教諭によるカミソリについての課題が昨年12月に出題されており、生徒がそれぞれチームを作り“環境”“プラスチック資源循環促進法”“SDGs”について学び、「紙カミソリ」を使って、どう環境問題に対する活動を広めていくのかを話し合ってきた。

当日の特別授業では、選出されたA~H班の八つのチームがそれぞれのテーマを持って発表。

A班は「貝印 世界のお手本 紙カミソリ」をテーマに、ホテルでのアメニティにすればホテルの好感度あがり、SDGsを考えるきっかけになるのではないかと発表。さらに男性トイレや、無人販売機で販売するアイデアも挙げた。また、プラスチック製のカミソリと紙カミソリの価格を比較すると紙カミソリのほうが高価なため、自宅で使うよりはホテルのアメニティとしての提供をメインに行い、よりSDGsについて考えてもらうきっかけにしたいという結論を発表した。

B班は、「未来の幸せ あなたならどっちをとる?」をテーマに、未来を考える手段として紙カミソリを使うことで、一人一人の行動が未来につながっていくのではないか、ということを伝えた。特に先進国において「環境問題に対して興味関心があるが何からはじめていいかわからない人」に紙カミソリを知ってもらい、プラスチック製のカミソリよりは高価ではあるが、その一本の選択肢を考えること、行動に移すことが未来を明るくし、環境活動へつながると発表した。

C班は、「世界初の紙カミソリ」をテーマに、出張や旅行でカミソリを使うかどうかを調査したアンケートを分析。紙カミソリの魅力については、耐久性にも優れていて清潔に使える、持ち運びしやすい、自然や環境にやさしいことなどを挙げ、結論として「持ち運びしやすい」「自然や環境にやさしい」「耐久性がある」カミソリであると発表した。

D班は、「世界初! 身近なところから地球を守ろう!」をテーマに、紙カミソリの魅力として使い捨てで衛生的に使える、一気にたくさん運べるので輸送時のCO2排出を抑えられる、持ち運びが便利ということに着目し、運送時のCO2を抑えることが地球全体のCO2削減に有効であることを説明した。また、海のゴミの種類はプラスチックが大半であることに触れ、紙カミソリが地球環境を守るきっかけとなっていくのではないかとまとめた。

E班は、「今の地球を救うのは紙」をテーマに、紙カミソリを世界中に広めるための方法を提案。SNSを活用して外国人や若い世代に認知を広げていくこと、また、出張などでカミソリを忘れ、購入するケースもあるとし、コンビニや空港に置くことが好ましいのではないかと発表。さらに「ご当地限定デザインの紙カミソリの発売」や、目につく場所での広告の掲示、有名人を起用したSNSでの発信など、紙カミソリの注目度を上げるための方法についてのアイデアを発表した。

F班は、「環境にやさしい コンパクトで荷物にならない 水に濡れても大丈夫」をテーマに、紙カミソリは旅行時や、災害時もかさばらず避難先に持っていけるため便利だとし、紙カミソリの多岐に渡る使用方法を提案。また、カミソリはいつ、どこで、どのような種類が使われることが多いのかという調査や、実際に紙カミソリを水に濡らし、水に濡れても紙部分が曲がりにくく丈夫であることを体験結果として発表した。さらにプラスチック消費量増加による問題の解決策として、宿泊業などで使われているプラスチック製のカミソリを紙カミソリにすることを提案した。

G班は、「環境問題があなたのすぐうしr」という独特なキャッチコピーを提案。このキャッチコピーの背景として、Z世代を含む若い世代の方が環境問題への危機感が薄いという分析を行ったことを伝えた。こうしたZ世代へのアプローチ方法として、環境問題がまるで幽霊のように、気づかないうちに後ろに忍びより――というイメージを抱かせることを「環境問題があなたのすぐうしr」というキャッチコピーに込めたという。

H班は、「あなたの暮らしに紙カミソリ」をテーマに、「安全で健康的な毎日を紙カミソリと一緒に過ごしてほしい」という思いを発表。調査データにより、持ち帰ったことのあるアメニティは「歯ブラシ」に次ぎ「カミソリ」が多いこと、また、持ち帰ったカミソリを複数回使用する人が多いことから、アメニティに紙カミソリを取り入れてはどうかと提案。またコロナ下で環境問題を意識する人が増えたという調査結果や、「環境問題の取り組みが進んでいる国のイメージ」調査において日本が一位であったことを伝え、その理由としては無駄な車移動を避ける、プラスチックごみの削減、ビニール袋やアメニティの有料化、ストローなどの紙化、などの取り組みが挙げられると発表した。

その後、貝印のマーケティング本部広報宣伝部・齊藤淳一次長が振り返りと総括を行い、「開発に約2年がかかり、およそ100パターンの試作を経て完成した『紙カミソリ』。こんな素晴らしいプレゼンをしていただけて、開発チームも喜んでいる。とても素晴らしい機会をいただき本当にありがとうございます」と述べた。