マスク生活に対応した高保湿とマスクネケアがスキンケアのトレンド

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新型コロナウイルスの蔓延の中でもスキンケア用品の需要は堅調です。これからもマスクを身につける生活が続くことから、菌を洗い流してくれる洗顔料や肌の状態を落ちつかせる保湿ケア用品など、肌を守り、突然発生する肌トラブルにも対応できるスキンケア用品への注目度が高まっています。続くマスク生活の中、肌の状態を落ちつかせ、ケアできる成分の配合や肌の修復を効果的に促進するスキンケアのルーティーンを広めることが、ブランドにとっての新たなポイントになるかもしれません。

突然の肌トラブルに適応すること

マスク着用により発生するニキビをはじめとした肌トラブル、「マスクネ」（「マスク」とニキビのもとである菌「アクネ」を組み合わせた造語）によって、一時的にお肌の状態が崩れてしまうことから、ヘパリン類似物質や「シカ」の名前で知られるツボクサエキス、セラミドを配合したスキンケア商品が高い人気を博した2020年。Mintel GNPD（ミンテル 世界新商品情報データベース）の20年のデータによると、19年に日本で発表された新商品のうち、ヘパリン類似物質を含有する商品の割合が30%、シカを含む商品が19%、セラミドの配合された商品が22%だったのに対して、20年の新商品においては、それぞれ70%、63%、50%を占めており、急増していることがわかります。

こうした原材料を活用しながら他の成分と組み合わせたり、斬新なテクスチャーや形状を持った商品を開発することが、今後の商品展開における鍵となるでしょう。

ここからはMintel GNPDからピックアップした、トレンドワードの製品例をご紹介します。

ヘパリン類似物質含有のスキンケア

＜保湿ローション＞

コーセーマルホファーマのカルテシリーズから登場した「モイスチュアローション」は、ヘパリン類似物質の効果で、荒れてしまった乾燥肌にも長時間うるおいを与えるのが特徴です。

＜フォームタイプ＞

アンファーが発売のナチュラブルプラスシリーズの「へパフォーム」は、ヘパリン類似物質を配合した、日本で初めてのフォームタイプの医薬部外品であることをアピールしています。

毛穴ケアとアクネケアの強化

 マスク生活とエイジングによって引き起こされた目立ち毛穴や大人ニキビに悩む消費者も少なくありません。ファンケルが20年7月、20～50歳の日本人女性618人に対してに実施したアンケートでは、全体の61%が毛穴の詰まりや毛穴の目立ちに悩んだ経験があると答えました。また、全体の43%がこの2、3ヶ月の間に大人ニキビを発症したと回答しています。

Mintel GNPDによると、日本で2021年1月から3月の間に新発売されたフェイシャルスキンケア商品の6%が毛穴を目立たなくする効果をうたっています。

 プラスの成分を配合したアクネケア用品

＜抗菌成分配合でターンオーバーを促進＞

第一三共ヘルスケアが販売している「マキロン アクネージュ メディカルクリーム」は頑固なニキビに対し抗菌し、炎症をおさえ、ターンオーバーを促進するというトリプル効果を発揮するように開発されています。

＜色素沈着の予防＞

ドクターフィルコスメティクスによる「アクネオ 薬用スキンケアパウダー」は、ナノレベルに細かいPLGAポアパウダーが細胞のターンオーバーをうながし、アクネ菌を消炎して日光による色素沈着を予防します。

新たなキーワード「オートファジー」も台頭

MintelGNPDによると、「オートファジー（自食作用）」の文言が含まれた商品も過去数年で増加しているといいます。実際、新商品全体のうち「オートファジー」という言葉を含んだものの割合が16年は全体の6%であったのに対し、20年は56%にまで増加しています。

16年に生物学者である大隈良典栄誉教授が、細胞が細胞自身のタンパク質を分解・再生するメカニズム「オートファジー」を解明し、ノーベル生理学・医学賞を受賞したことから、日本の消費者もその言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

また20年には、エスティ ローダーが『色素沈着を制御する重要なメカニズムとしてのオートファジーを含む、美白のためのシステム生物学的アプローチ』と題した論文を発表。エスティ ローダー パーフェクショニスト プロ ラピッド ブライトニング トリートメント ファーメント² + ビタミンCのオートファジーとの関連性は、当時さまざまな美容雑誌やウェブサイトで消費者に向けて紹介されました。

オートファジーを活性化する商品の登場

＜大人の肌向け＞

ナガセビューティケァより発売された、「エコルフィー アドバンスドスキンケア ベルベットローション」はオートファジーに注力した大人の肌のための化粧水です。肌を保湿してふっくらと仕上げ、美しい艶肌に導くことをアピールしています。

＜肌バランスをととのえる＞

アユーラ バランシング プライマー ワンは肌自らがうるおいを育み、健康なお肌を維持させる成分である（ヘキサカルボキシメチルジペプチド-12）と、潤いをお肌へ導く役割を果たす、ざくろエキスを配合しています。

注：上記の製品は全てMintel GNPDからの掲載。

（ミンテル シニアビューティ＆パーソナルケアアナリスト 長谷川怜子）

月刊『国際商業』2022年02月号掲載