一つずつ丁寧に商品の色を分析
――ゾゾコスメでは、ゾゾグラスで計測した肌の色に一番近いファンデーションの色にアイコン「You」が付きます。これはどういう仕組みなのでしょうか。
堂免 ファンデーションの色は、光で色を測る特殊な機械「分光計測計」を使って計測しています。その数値とゾゾグラスの計測結果を組み合わせることで、「You」の表示を付けるカラーを導き出しています。ゾゾコスメは3月18日に約500ブランドで始まりましたが、ファンデーションのSKUだけで約400もありました。1品1品、丁寧に手作業で分光計測計にかけていったんです。
――ゾゾグラス、分光計測計それぞれの計測値を組み合わせるアルゴリズムは、どのように構築したのでしょうか。
堂免 これも地道なんですよ(笑)。アパレルと違って、ファンデーションは8色や10色、中には20、30という多色展開なのが特徴です。それは全て肌の色を表現したものですから、一見近しい色でも、それぞれ細かく色が分かれています。もちろん、色の好みもお客さまによって違います。そのため、ファンデーションを肌に塗ったときに、良い、悪いと、私たちがジャッジすることはできません。あくまでも、計測した肌の色に一番近いファンデーションと機械的にマッチングする機能と位置付けたわけです。それと同時に、化粧品の売り場では美容部員さんのオススメの色を買っている女性が多いものの、自宅の照明環境で塗ってみると印象が異なる、という意見も耳にしたことがありました。ですから、私たちは計測結果に基づき選んだファンデーションの肌なじみを測るために、ファンデーションを人の肌に塗って、色なじみの良し悪しを測るテストを行いました。コスメ好きの社員はもちろん、社外の協力を得て行ったのですが、コロナ対策に細心の注意を払いつつ、約300人分のデータを集めたことで、ゾゾグラスの精度が高まったと思います。
――ゾゾコスメの新規ブランド参入は続いています。分光計測計によるファンデーションの色の測定は、自動化できないのでしょうか。
堂免 分光計測計の自動化はできません。というのは、ファンデーションにはパウダータイプ、リキッドタイプなどさまざまな形状があります。正確に色を測定するには、液状なら適正な量を容器に移すなどの作業が必要になります。また、手作業の試行錯誤を続けることで、より精度が高まることも期待できます。