化粧品・日用品メーカー6社
コロナに翻弄された――。化粧品を主力に据えるコーセー、ファンケル、マンダムの2021年3月期決算は、中国をはじめとしたアジア頼みの1年だった。3社とも中国を中心としたアジアが2桁増となった以外、他の地域は軒並み苦戦。中でも足元の日本では、インバウンドの完全消失、度重なる緊急事態宣言発出で主要販路である百貨店の休業、外出自粛に伴う化粧頻度の減少、UVや制汗剤、制汗シートといった夏物のケア商材の利用頻度縮小、在宅勤務が普及したことによる都市部ドラッグストアの利用客減といった、コロナ以前には見られなかったかたちで顧客接点が大幅に縮小した。この対応策としてECをはじめとしたデジタルシフトを進めているが、従来、リアル店舗での販売が主流だったことから、その取り組みはまだ緒に就いたばかり。カウンセリングやタッチアップなど、これまで店頭で提供してきた価値を、デジタルを活用してどこまで置き換えることができるか、新たな需要創出に向けた工夫が試されている。
一方で、ロート製薬の中国の売り上げは2桁減。コロナからの回復は早かったものの、マスク着用が習慣化したことが構成比の高いリップクリームを直撃。需要シーズンである下期も振るわず、厳しい状況だった。半面、国内では医療用分野への注力度合いを高めており、買収した医療分野子会社が堅調に推移しており、コロナの影響を受けた日焼け止め、リップクリームの苦戦をカバーしている。以前より幹細胞を活用した再生医療分野での挑戦も続けており、ヘルスケア企業としての立ち位置がより明確になっている。
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