資生堂は、ドルチェ&ガッバーナブランドのフレグランス、メーキャップ、スキンケア商品の開発、生産および販売・マーケティングに関するグローバルライセンス契約を、2021年いっぱいで解消することを決定した。

同社はEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)地域本社においてフレグランス事業を担うBeauté Prestige International S.A.S.(以下BPI社)を通じてドルチェ&ガッバーナとの間で締結していた、フレグランス、メーキャップ、スキンケア商品の開発、生産および販売・マーケティングに関するグローバルライセンス契約を解消することについて合意したと4月28日に発表。

同契約の解消に伴い、フランスを除くすべての市場での同ライセンス契約に関する事業展開が21年12月31日を効力発生日として終了する予定だ。なお、フランスにおける事業活動に係る同ライセンス契約の解消については、同国の労働法に基づき、従業員代表との労使協議を経た上で決定する予定だという。

また、BPI社は、同ライセンス契約解消以降、最低12ヵ月間、D&G社商品のグローバルでの生産および販売を継続する検討を開始している。同社は16年10月1日より、特に欧米において重要なフレグランスカテゴリーを強化し、グローバルプレステージ領域におけるブランドポートフォリオを拡大する目的で、D&G社とライセンス契約を締結し、同社とともにグローバルで成長を拡大してきた。

一方で、資生堂は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う市場変化を踏まえて、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を策定し、高収益構造への転換に向け、選択と集中による事業ポートフォリオの再構築を進めており、今回の契約解消はこの中長期経営戦略に基づくものだ。今後は、これまでの売上拡大による成長重視から、収益性とキャッシュフロー重視の戦略へと転換し、23年までに営業利益率15%を達成すべく、構造改革を進めていく。

このライセンス契約解消に伴う21年12月期業績への影響は、商標権の減損等で特別損失として約350億円を見込んでいる。なお、21年度通期見通しについては、先般公表したパーソナルケア事業の譲渡影響など、その他の状況も鑑み、21年5月12日の第1四半期決算発表で公表する予定だ。