ドイツではコスメ製品の国内総売り上げのうち、約1割がナチュラルコスメで、ナチュラルに近いコスメを含むと19%と欧州各国の中でもダントツである。ドイツには自然の力に着目し、それを化粧品に活用するに至った先駆者によるナチュラルコスメブランドが少なからずあり、前号で紹介したブランドWALAもその一つである。今回はキリスト教の聖職者であるクナイプ神父による水と植物の自然治癒力の研究から生まれた「クナイプ(Kneipp)」を紹介する。来年創業130年を迎え、欧州はもちろん日本でも愛用されている。
セバスチャン・クナイプ(1821〜1897年)は、25歳の時に結核を患い、しばしば苦しんでいた。そんなとき偶然見つけた医師ヨハン・ジーグムントの書籍より、冷水の治癒力について知る。それを実践すべくドナウ川に数秒浸かり、走って家に帰ったところ体が蘇るように感じた。繰り返すうちに元気になり、結核を克服した。こうして短時間冷水に浸かり、その後すぐに体を動かして温めるという水療法を開発した。31歳で神学を修めたのち神父となり、1885年から南ドイツのバード・ヴェリスホーフェン市に着任した。このころからコレラに苦しむ患者や、口蹄疫にかかった牛の群れを治療し、農家の相談に乗るなど知見を書物にまとめ始めた。
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