5月に開催された全国人民代表大会(全人代)で、最も注目された決議が、「香港国家安全維持法」だった。日本のメディアでも、一国二制度が崩れる悪法だとされ、香港で大規模な反対デモが行われるだろうと予想(半ば期待?)していたが、1000人程度のデモが天安門事件の記念日である6月4日にあり、他には特定の反中国団体による抗議活動が散発的にあったものの、アメリカ全土で、警官による黒人殺害に対する激しい抗議デモが繰り広げられていたのと比較すると、あまりにも「平静」だった。
香港国家安全維持法は、分離独立行為、反政府行為、テロ行為、国外勢力による政治活動を取り締まりの対象にしている。これまで取り締まるための法律がなかった。とくに米中関係が緊張の度合いを強める中で、去年後半以降、アメリカによる香港の反体制運動への支持、とりわけ米議会で「香港人権・民主主義法」が採択され、今後、アメリカが香港カードで中国への揺さぶりを強めると見て、今回の法制定に踏み切ったのだろう。
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