2カ月半遅れで、5月22日から中国では日本の国会にあたる全人代(全国人民代表大会)が開催された。初日の李克強首相の政府活動報告では、「習近平主席を核心とする指導部の力強い指導のもと、対策は大きな戦略的成果を収めた」と新型コロナウイルス対応について、これまで通りの指導部礼賛だったが、「勝利」という表現は使わず、「感染症対策の中で行政上の一部の問題が露呈し、国民の意見と提案を今後重視すべきである」とこれまでにない反省の弁も述べた。実は感染拡大中、ネットを通じて、国内からの批判、反発があり、それを意識したものだった。

世界から見ると中国は、ネット社会になったとの認識は深まったようだが、いまだに情報統制されていると思われている。中国国内で、政府や共産党に批判的な内容の記事が出たりすると、日本のマスコミ報道でも、必ずといっていいぐらい「1時間後に削除され、閲覧できなくなった」といったコメントが入る。しかし、実際に削除できるのはごくわずかで、数億人が口々に出す不満の声を物理的に消すことはもう不可能だ。政府に対する不満が国民から出れば、その「うねり」は、あっという間に広まってしまう。

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