思い切った譲歩を中国はしたものだ、と思った。1月15日(米国時間)、ワシントンで署名された米中貿易協議の第一段階の合意文書である。中国は米国からの輸入を2年で2000億ドル(約22兆円)増やすだけでなく、知的財産権の保護、技術移転強要禁止、保険分野の出資規制撤廃などの市場開放要求を呑んだ大幅な譲歩なのに対し、アメリカはこの2年間に引き上げた対中貿易の関税を一部下げるという譲歩だけにとどまった。

中国当局はこの内容を国内向けに公表していない。公表すれば、譲歩のし過ぎだと政府批判になっていく恐れさえある。おそらく、胡錦濤の時代なら、まだ長老たちが元気だったこともあり、この内容での合意には反対論が沸き起こり、署名にこぎつけることさえできなかったかもしれない。強力な指導者習近平だからこそ、反対論があっても抑え込むことができた。

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