ユニ・チャームは、昭和大学医学部の池田裕一教授の監修の下、2019年6月に全国の5~15歳の年長から中学校3年生までの子どもを持つ親1万人(うち回答:5186人)を対象に、5歳を過ぎても起きてしまう「子どもの昼間の“おもらし”(昼間尿失禁)に関する実態」を調査。その結果の一部を発表した。

同調査によると、昼と夜のおもらしの合計は8.1%、そのうち「昼のおもらし」は4.3%であり、40人学級の場合クラスに1~2人程度は存在することがわかった。夜のおもらしだけではなく、昼間でも、物事に集中することで尿意の意識が向きづらく、ストレスや緊張が原因でおもらしが起こってしまうという実態があきらかになった。

こうした子どものおもらしについて、親は特に子どもの生活環境が変化する小学校入学前や、宿泊を伴う学校行事が近づく頃に不安が高まる傾向にある。そしておもらしトラブルに対して、「いつになると治るのか」、「子供が自信喪失しないだろうか」といった不安を抱えられていることも同調査で分かった。

しかし、対処や改善方法に関しては相談する窓口も少なく、相談されていない人の割合が最も多いのが現状。できるだけトイレに行く習慣づけで治したいという意向や、対処の為に紙おむつや軽い失禁ナプキンを使用する人もいるため、子どもの症状や気持ちに寄り添った、対処方法の提案をしていくことが必要だ。

今回の調査について、池田教授は下記のようにコメントしている。

「昼間のおもらし(昼間尿失禁)は、5歳を過ぎても日中におしっこをもらしてしまうことをいいます。腎臓や膀胱、背骨の神経などの病気により生じる場合もありますが、原因の多くはおしっこを溜める、出すなどの働きが十分に成長しきっていないことによります。そのため、成長過程で自然に改善していく子どもも少なくありません。

しかし、自然に良くなるのを待っている間でも、昼間のおもらしは子どもの自尊心を傷つけ、生活の質を悪化させることが多くの研究でわかっています。さらに、学年が進むにつれて、日中にズボンやスカートが尿で汚れることに対して、友達からからかわれたり、いじめの対象になったりすることが心配されます。

そのため、日中のおもらしが良くなるまでは、お子さんの自尊心を守り、周りの友達からも知られないよう、尿もれパットやトイレトレーニングおむつなどの使用を勧めています。下着や服についた尿は、ときにきつい臭いの原因にもなりますので、その点でも尿もれパットを使うことは有効です。

さらに、私たち医療者の間でも、近年、子どもの昼間のおもらしについての関心が高まり、2019年に小児科医師や、小児泌尿器科医師、排泄ケアを専門とする看護師が共同で、日中のおもらしの診療の手引きを世界に先駆けて作り、専門の学会のホームページなどで公開しています。この手引きを参考にして、全国どの医療機関でも、子どものこころに配慮した適切な日中のおもらしの診療が行われることを願っています」