■ファンデーションの新たな可能性を提案
ファンデーションの使用時間を有意義なスキンケアタイムとしても活用する――。資生堂は、2017年から商品を通じ、社会、生活者に対して行ってきたイノベーションの提案である「表情プロジェクト」に続き、新たなイノベーション提案として「ファンデーション革命」を打ち出した。ファンデーションを使用する行為に新たな価値を創出し、市場活性化にもつなげていく考えだ。
資生堂が注力する肌三分野の一角を担うベースメイクに関して、今回新たな戦略を打ち出したのは、生活者のアンメットニーズに対応するためだ。同社が全国15〜69歳女性2万人を対象に実施した調査では、女性がファンデーションをつけている時間が年3500時間(※1)にのぼることが判明。また、昨年7月に全国15〜69歳女性4123人を対象に実施したインターネット調査では、約6割の女性が「肌に負担をかけている」「毛穴が詰まりそう」など、ファンデーションに対してネガティブなイメージを持っており、なかにはそうした理由からファンデーションの使用を中断している女性もいることもわかった。
※1 ファンデーション「週5日以上&1日8時間以上」使用者の使用平均時間
こうしたファンデーションに対するネガティブなイメージを払拭し、市場活性化のブースターとする提案が「薬用 ケアハイブリッドファンデ」(※2)だ。
※2 ファンデーションと薬用スキンケアを融合した医薬部外品のファンデーション
今回「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を提案するのは、市場活性化への想いを具現化する一方で、商品を使ったその先にある生活者を笑顔にすることへのチャレンジでもあり、「資生堂表情プロジェクト」と根底に流れるスピリットを同じくするものだ。ファンデーションの概念を180度、がらりと変えるとともに、肌への負担を気にしてファンデーションを使っていない女性にも寄り添うことで、商品を通じた生活者の笑顔づくりを加速していく。これまで、多くのメーカーがファンデーションを使ってもらうことを前提とした研究やマーケティングを行ってきたが、基本的には使っている生活者に向けたアプローチ。だが、今回資生堂が進めるのはファンデーション非使用者にもきちんと向き合う、いわば逆転の発想だ。
「年3500時間のファンデタイムで、素肌まできれいに。」をキーワードに、新しいファンデーションの選択肢を生活者に提供していくとともに、素肌までキレイにする薬用スキンケア効果と、美しい仕上がりを両立させたファンデーションで、求める「スキンケア効果」と、なりたい「仕上がり」で選べるラインアップを、資生堂が保有する様々なブランドで今後展開していく考えだ。
■期間限定イベントも実施しブランド体験につなげる
その第一弾として、敏感肌向けブランドの「dプログラム」および美白ケアブランドの「HAKU」の2ブランドから展開を開始する。
「dプログラム」では、昨年8月にリニューアル発売した「薬用 スキンケアファンデーション(パウダリー)」(10.5グラム・2800円、SPF17・PA++、全5色、医薬部外品)に採用。トラネキサム酸、グリチルレチン酸ステアリルの2種の薬用有効成分を、日本で初めてパウダリーファンデーションに配合した薬用スキンケア処方で、ニキビや肌荒れを防いでスキンケアするとともになめらかな仕上がりへと導く。
一方の「HAKU」からは、3月21日に発売した「薬用 美白美容液ファンデ(医薬部外品)」(30グラム・ノープリントプライス、SPF30・PA+++、全4色)に採用。美白有効成分である4MSK、トルメンチラエキス、イチヤクソウエキス、グリセリンから成る整肌・保護成分のVカット複合体、保湿成分のSヒアルロン酸を配合することで、美白しながらシミ・色ムラをきれいにカバーし、シミの気にならない明るく透明感のある仕上がりを実現する。
プロモーションには、ファンデーションでメイクをした肌が常に美しいことで定評があるマツコ・デラックスを起用。率直な言動で世代、性別を問わず、社会に新しい視点を付加しているマツコ・デラックスとともに、「薬用 ケアハイブリッドファンデ」の新しい価値を広めていく。3月21日のTVCM放映をはじめ、全国の「dプログラム」「HAKU」の取扱店の店頭、雑誌広告、屋外広告での認知を高める。
また、両製品を体感できるエリアイベントも東名阪3都市で、期間限定で実施する。イベントでは、ライブステージや美容のプロによる肌色測定を実施し、来場者の肌にあった「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を紹介するほか、「薬用スキンケア×美しい仕上がり」を体感してもらうためのサンプリングも行う。開催期間は、東京が3月21〜22日にベーカリーカフェ426表参道において、大阪が3月30〜31日にビッグマン前広場において、名古屋では4月6日にJR名古屋駅桜通口においてそれぞれ実施。いずれも11〜18時の開催だ。
あわせてウェブによる情報発信も充実。「薬用 ケアハイブリッドファンデ」の特設サイトを3月13日より開設したほか、多くの生活者に「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を使ってもらい、ファンデーションやスキンケアといった化粧に関することだけではなく、生き方や夢などを語り尽くす「ケアハイブリッドストーリー」も同月20日に公開し、「薬用 ケアハイブリッドファンデ」をより知ってもらう取り組みも進める。
今回新たに提案する「薬用 ケアハイブリッドファンデ」は、3月15〜17日に千葉県・幕張メッセにおいて開催された第19回JAPANドラッグストアショーにおいて生活者に対して初お披露目となった。業界関係者向けの初日から「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を体験すべく、多くの来場者が長蛇の列をなしており、早くも関心の高さが伺えた。様々なプロモーションを実施することにより、関心度はさらに高まっていきそうだ。
■発表会を開催し「ファンデーション革命」を宣言
資生堂では「薬用 ケアハイブリッドファンデ」の提案を開始するのにあたり、3月13日に東京都中央区の日本橋三井ホールにおいて発表会を開催。資生堂ジャパンの杉山繁和社長、資生堂クリエイティブ本部の富士榮史氏によるプレゼンテーションのほか、新TVCMのお披露目、ゲストスピーカーによるトークセッションを行った。
冒頭登壇した杉山社長は、商品を通じた新たなイノベーションの提案として「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を紹介し、新需要創造に挑む「ファンデーション革命」を高らかに宣言した。
プレゼンテーションのなかで杉山社長は、年3500時間にのぼるファンデーションをつけている時間を肌荒れ改善や美白といったスキンケアに使うことができたらどんなに有効かというところから「薬用 ケアハイブリッドファンデ」の着想に至ったことを説明。そのうえで、以前は虫歯の要因の一つと考えられていたチューインガムが、新規成分を採用したことにより近年では虫歯を抑制する効果が期待されるといったように常識が180度転換したことを引き合いに出し、「肌の負担になるといったようなネガティブなイメージを払拭し、健やかな素肌を実現するためにはファンデーションを使ったほうが肌にいいといった方向に生活者のイメージを大きく転換し、ファンデーション市場の停滞感に風穴を開けたい」との意気込みを示した。
続いて壇上に上がった資生堂クリエイティブ本部の富士榮史氏は、「薬用 ケアハイブリッドファンデ」の開発背景、商品概要、プロモーションについて説明した。
富士榮氏は、17年から取り組んでいる肌三分野戦略が奏功し、資生堂の主要ブランドのファンデーションが期待を超える成長を示している一方で、調査により生活者のなかにはファンデーション非使用者・中断者が約3割、使用していてもネガティブな気持ちで使っている人が約3割おり、「毛穴が詰まりそう」「吹き出物が出やすくなりそう」「肌に負担があるのではないか」といった不安の声が多く上がってきたことや、「本当は使いたくないがマナーだから使っている」といった使用者のリアルな声を紹介。そうした生の声を受け、「改めて本気で向き合うことが使命と強く感じた」と開発の経緯を語った。
こうした経緯から開発した「薬用 ケアハイブリッドファンデ」について富士榮氏は、資生堂が培ってきた技術の結晶としたうえで、「ファンデーションの積極的なユーザーはもちろん、ノンユーザー、ネガティブユーザーにもお使いいただけると確信している。これによりファンデーションの使用人数を拡大させ、市場活性化、市場規模拡大に貢献していくと信じている」と力説した。
■アンバサダーが登壇し高い使用実感を紹介
発表会には、アンバサダーのマツコ・デラックスのほか、ゲストスピーカーとしてフリーアナウンサーの川田裕美も登場し、トークセッションを展開した。
「薬用 ケアハイブリッドファンデ」のアンバサダーに指名され、資生堂のTVCMに出演することについて聞かれたマツコ・デラックスは、「資生堂のCMにはいろいろと気づかせてもらうことが多く、そのCMに出演することに嬉しさを感じる半面、プレッシャーも感じている」と、重責とともに喜びを語った。また、ファンデーションに関し肌が荒れるなど誤解されている部分もあることを指摘し、「メイクを恐れるなと言いたい」と強調したうえで、「オフしたときの不安感がなくなる。使い続けることが大事」と「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を投入した商品の使用実感を語った。
テレビCM「ケアハイブリッド誕生」篇30秒
https://www.youtube.com/watch?v=Zp-M_FhSGPc
発表会を聞いていた川田裕美も、「自分が思っていたファンデーションのイメージががらりと変わった。早く使いたい」と期待を滲ませた。
新たなイノベーション「ファンデーション革命」の提案で、生活者のアンメットニーズに寄り添う資生堂。肌三分野に注力する同社が「ファンデーション革命」に着手したのは必然とも言える。ファンデーションに対するネガティブイメージを大きく転換することはもちろん、使用者にとってもファンデーションの積極的な使用を促すことは間違いないだろう。
第一弾として「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を展開する「dプログラム」「HAKU」は、ブランドコンセプトが際立っている。裏を返せば、コンセプトが際立っているからこそ両ブランドのユーザーの目は厳しいはずだ。その両ブランドから「薬用 ケアハイブリッドファンデ」を投入することは大きなチャレンジとなる。あえて厳しい目を持つユーザーに向けて新たなイノベーションを最初に提案する姿勢からは、業界を引っ張る資生堂の強い意志を感じ取ることができる。そのなかで打ち出される第二弾、第三弾にも大きな期待をせずにはいられない。★
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。