物流強化を進める楽天が、将来を見据え、新たな提携パートナーを迎え入れた。中国で自前の物流インフラを持つEC大手、京東集団だ。

(左から)楽天ドローン・UGV事業部の向井秀明ジェネラルマネージャー、楽天の安藤公二常務執行役員、京東集団の肖軍副総裁、京東日本の荒井伸二最高責任者

具体的には京東の技術開発を支えるX事業部と連携。同社が開発したドローンと地上配送ロボット(UGV)を導入すると同時に、スタッフの人的交流も行う。

楽天はこれまでドローン配送に着目し、取り組みを進めてきた。狙いは利便性の提供、物流困難者支援、緊急時のインフラ構築の三つ。16年に取り組みをスタートし、千葉のゴルフ場で日本初の配送サービスを実施。翌17年には福島県の南相馬市でローソンと共に配送サービスを行い、昨年は個宅配送を想定した実験や、屋内配送ロボットとの連携による配送実験も実施。そして今年1月には民間企業として国内初となる、目視外補助者なしの飛行にも成功した。

対する京東は、中国における物流のリーディングカンパニーと言える。中でもX事業部が注力している取り組みの一つが、様々な無人化技術だ。無人倉庫、無人配送車、ドローン、無人店舗と、効率性を高める技術革新を進めてきた。

中でもドローンは16年の初配送成功を皮切りにノウハウを蓄積。今では青海省、福建省など八つの省で日常的に運用。7000時間以上の無事故飛行を達成しており、専門の人材は400人を超える。

今回導入されるドローン機は幅160センチ・高さ60センチ、最長飛行距離は16キロメートルで40分飛行し続けられる。「実験を続ける中で、我々が求めるドローンの機体が徐々に大きくなっていった。このドローンは本格的な物流ニーズに応えられる」と楽天のドローン・UGV事業部の向井秀明ジェネラルマネージャーは語る。UGVについても「世界の中でも京東ほどの運用経験を持った企業はない」(同氏)という。

両社は昨年1月以降、議論を重ねる中で今回の正式な戦略協力で合意。京東のドローンとUGVを使った実証実験については、今年中に発表する予定だ。

国内ではドローン配送の正式な許可がまだ下りていない。安全性の担保が必要なためだが、山間地や離島への配送、さらに緊急時の活用などドローンが果たせる役割は大きい。京東集団副総裁でX事業部総裁の肖軍氏は「スマート物流はビジネス分野だけでなく、社会的な責任も求められる。イノベーションでスマート物流を推進したい」として、楽天との提携関係を深めたい考えだ。