ファンケルは11月27日、「L-セリン」の体内時計調節に関する研究が、日本生理人類学会第77回大会(2018年6月、九州大学で開催)で「優秀発表賞」を受賞したことを発表した。受賞演題は「実生活における『L-セリン』摂取が概日リズムの光同調に及ぼす影響」。L-セリンとは、牛乳や肉、大豆などの高タンパク質の食品に含まれるアミノ酸の一種で、睡眠の質を高める効果が知られている。同社は13年から、九州大学大学院芸術工学研究院の樋口重和教授と光による体内時計の調整(メラトニンの分泌開始時刻の調整)ができる成分として、L-セリンに関する共同研究を進めてきた。
今回の研究は、体内時計に影響する環境要因(照度、外気温・湿度、音など)を管理し、正確な研究データを取得するため、窓もない分厚い壁に四方を囲まれ、外部から完全に隔離された空間で行われた。内容は、「健康な成人が普段の生活でL-セリンを3g毎晩就寝前に摂取した場合、実生活でも体内時計の調整ができるのかについて」というもの。その結果、実生活においても調整力が高く、特に冬場に高い可能性があることを発見した。この成果から、日常的にL-セリンを摂取することで体内時計の乱れや時差ぼけを改善し、生活習慣病のリスク低減や活力向上につながることも期待されると判明した。
今回の研究について樋口教授は、「今回の研究目的は、実験室ではなく実生活の中で、L-セリンの作用を検証することでした。結果として、実生活においても、就寝前のL-セリンの摂取が体内時計の夜型化を防ぐのに有効である可能性を示すことができました。生活者の視点を重視し、かつ科学的に得られた研究成果の重要性が評価され、今回の受賞につながったと思います。この結果をより確かなものにするために、今年の冬も実験を進めているところです」と語った。