歯が20本残っていても、十分に嚙めるとは限らない。8020達成者が約6割に達した日本で、次に問われるのは「歯の本数」から「口の機能」へと視点を広げることだ。オーラルフレイルの概念を提唱した東京大学の飯島勝矢教授は、口の小さな衰えを早期に捉え、健康長寿につなげるには、歯科を軸に医療、行政、産業界が連携することが重要だと訴える。
その歯で十分に食べられるか
――8020運動によって歯を残す取り組みが進んでいます。これまでの成果と、次の課題をどう捉えていますか。
飯島 80歳で自分の歯を20本以上保つ8020の達成者は、数%だった時代から、2024年時点で約6割にまで増えました。これは、歯科界が長年にわたって予防や治療に取り組んできた大きな成果です。フッ化物配合ハミガキの普及や、子どもの頃からのむし歯予防など、さまざまな要因が重なった結果だと考えています。一方、達成していない人はなお約4割います。歯を残す取り組みは今後も重要ですが、これからは「何本残っているか」だけでなく、「その歯で十分に食べられるか」という視点も欠かせません。歯が残っていても、嚙み合わせや口の周囲の筋肉が衰えれば、嚙む力は低下します。歯を残すことに加え、その歯を使ってしっかりと食べ、安全に飲み込み、さらには社会性を維持するための「話せる状態」をどう守るか。これが8020の次に取り組むべき課題であり、かつ大きく期待したい部分です。
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