「薬を渡すだけ」でいいのか

「半年前と比べて、硬いものが食べにくくなっていませんか」

薬剤師が高齢者に問い掛ける。「咀嚼」という専門用語だけでは伝わりにくい。たくあんやさきいかといった身近な食品を例にすれば、自分の変化を思い浮かべやすくなる。握力やふくらはぎの太さを測り、「パ」「タ」「カ」を繰り返して滑舌も確かめる。結果を見ながら生活上の助言を行い、必要なら歯科や医療機関へつなぐ。次の来局時には、その後の様子を聞く。千葉県内のウエルシア薬局での薬剤師と高齢客のやり取りだ。

これは、東京大学高齢社会総合研究機構、イオングループのウエルシア薬局が進める共同研究で行われている取り組みを描いたものだ。日常的に高齢者と接する薬局を舞台に、フレイルやオーラルフレイルの兆候を早期に捉え、薬剤師による継続的な支援につなげる。その有効性を確かめるとともに、日常業務として実装できる新たな薬局モデルの構築を目指している。処方箋受付と服薬指導だけでは生まれにくかった対話による歯科の予防が、薬局で始まっている。

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