ジョンマスターオーガニックグループは、ブランドの次の成長を見据えた新戦略「JMO 2.0」を始動する。創業以来培ってきたオーガニックの思想を守りながら、植物科学を取り入れた製品開発による機能価値の向上と、香りやデザイン、店舗を含めた感性・体験価値の強化を推進。「オーガニックコスメのパイオニア」から「唯一無二のプレミアムコスメブランド」への転換を図る。10月8日にはブランド最高峰のヘアケアライン「PRO Botanical Concentrate(プロ ボタニカル コンセントレイト)」を投入。10月22日には、ブランド初のフレグランス ヘア&ボディコレクション「First Collection(ファーストコレクション)」を展開する。
JMO 2.0は、ブランドが顧客と接するあらゆる場面を再構築し、オーガニックの価値そのものを現代に合わせて再定義する取り組み。同ブランドは、米ニューヨークで1994年に誕生し、2007年に日本に上陸。ヘアケアを中心にオーガニックコスメ市場を切り開いてきた。しかし、17年にはリコールを経験し、顧客や取引先からの信頼を大きく損なった。さらに20年代に入り、市場環境や消費者の価値観が変化。こうした状況を受け、同社は直近3年間でブランドの土台を見直し、構造改革を進めてきた。その基盤の上で次の成長に踏み出すのがJMO 2.0となる。

大滝雄一郎社長
大滝雄一郎社長は「本質を守り、未来を開く」と方針を表現する。創業以来の「人と自然をつなぐ」という哲学は変えないものの、オーガニックが広く普及し、「自然」「癒やし」「優しさ」だけではブランドの独自性を打ち出しにくくなった市場環境を踏まえ、新たなブランドコンセプトに「自然の力で、人の未来をひらく」を掲げる。
JMO 2.0に基づきブランドディレクションを担うブランディング・エージェンシーSIMONEのムラカミカイエ代表も、現在のオーガニックを取り巻く環境について「オーガニックという言葉自体が世の中的にありふれてきている」と指摘する。その上で、ブランドが登場した当時には、既存の価値観に対する「アンチテーゼ」のようなインパクトがあったと振り返り、「その意思をどう現代に引き継いでいくかが一番重要」と語った。
そこで重視するのが、自然の力を信じるだけではなく、自然の力をきちんと機能させることだ。植物由来という出自だけで差別化するのではなく、科学的知見を組み合わせて機能性を高め、ブランドへの信頼につなげる。JMO 2.0では、こうした「機能価値」と、香りやデザインなどの「情緒価値」、さらに店舗や接客を含めた「体験価値」を高い水準で融合しプレミアムコスメブランドを形にしていく。

PRO Botanical Concentrate
その戦略を象徴するのが、10月8日に発売するブランド最高峰のヘアケアライン「PRO Botanical Concentrate」だ。ブランド創設者のジョン・マスター氏がトップスタイリストとしてヘアサロンで行っていた植物を用いた施術とヘッドスパの思想を、現代の植物科学と技術で再構築した。同ラインは、植物繊維からなるセルロースカプセルを用いた独自技術「PROデリバリーカプセル」を採用。使用時の手の圧力でカプセルが崩れ、内包したリンゴ果実エキスやアルガンオイル、ゴボウ根エキスなど6種の植物由来成分を頭皮や髪へ届ける。そのほか、ボタニカル発酵エクソソーム技術やオランダカイウ花/茎エキスも共通成分で配合し、健やかな髪を育てる土台作りを行う。
ラインアップは、頭皮環境を整えることを起点に、髪本来の美しさを引き出す3ステップのホームケアで構成する。ブランド初のクリームシャンプー「ボタニカルコンセントレイト クリームシャンプー」(300㌘・9900円)は、髪と頭皮に密着する乳化クリームが不要な老廃物などの汚れを浮かし洗い流す。「同 ヘアセラム」(117㍉㍑・1万4300円)は、濡れた状態で乱れやすい水分バランスを整える。「同ヘアマスク」(150㌘・1万2100円)は、高ダメージ部分にもしっかり密着し、髪に潤いやハリ、コシを与える。
製品だけでなく、店舗での提案力にも注力する。頭皮スコープを活用したカウンセリングや、毛髪診断士など専門知識を持つスタッフによる提案を強化。多様化する悩みに対応する製品群と、一人一人に合わせたカウンセリングを掛け合わせ、顧客から最も信頼されるプレミアムヘアケアブランドを目指す。

First Collection
もう一つの柱となるのが感性価値の強化だ。ヘア&ボディ向けのFirst Collectionは、香りを単なる製品の付加価値ではなく「ブランドを象徴する資産」と位置付け、ニューヨークを着想源とする5種をそろえる。調香は、NY在住の若手実力派のルーク・マルヴィー(LUKE MALVEY)が行い、すべての香りにウッドを軸として取り入れ、ブランド発祥の地であるニューヨークの情景や時間、空間を表現した。シグネチャーの香りは、23時のハドソン川をイメージした「23 hudson stillness」。カルダモンやガイアックウッド、ホーリーインセンスなどを組み合わせたハーバルウッディな香りとなる。「フレグランス ヘアミスト」(50㍉㍑・6600円)、「同ボディウォッシュ」(280㍉㍑・4400円)、「同 ボディミルク」(280㍉㍑・4950円)、11月5日発売の「同ハンドウォッシュ」(280㍉㍑・4400円)と「同 ハンドクリーム」(30㌘・2750円)、12月3日発売の「同 マルチオイル」(90㍉㍑・6600円)と各香りで6アイテムを展開する。
製品容器や店舗にも新たな世界観を広げる。プロダクトデザインはJIN KURAMOTO STUDIOの倉本仁氏、店舗デザインはTeruhiroYanagihara Studioの柳原照弘氏が担当。オーガニックブランドに多い土や木を想起させる表現だけに寄らず、金属の質感を取り入れることで、ニューヨークで生まれたブランドとしての都市性を加える。
JMO 2.0は創業時の思想を現代の価値へ翻訳する試みだ。自然由来であることそのものを競争力とする時代から、自然の力を科学によって機能へ、デザインや香りによって感性へ、接客によって体験へと転換する。その起点となるヘアケアで、プレミアム市場での存在感を高めていく。
月刊『国際商業』2026年10月号掲載





















