ジョンマスターオーガニックグループが、化粧品の枠を越えてライフスタイル領域に踏み出す。ユナイテッドアローズ(UA)と協業し、新たなコンフォートウェアブランド「john masters UNITED ARROWS(ジョンマスター・ユナイテッドアローズ)」を立ち上げる。UAが他社との協業で新ブランドそのものを展開するのはまれ。単発のコラボレーションではなく、将来的には単独店舗の開設も視野に入れるなど、両社にとって新たな顧客接点をつくる本格的な取り組みとなる。

デビュー時から175SKUをそろえる
新ブランドは、「john masters organics(JMO、ジョンマスターオーガニック)」が培ってきた自然や身体へのまなざしと、UAが育んできた日常着の美学を融合。「肌の感覚で選び取る心地よさ」を起点に、ラウンジウェアからシティウェア、ホームエッセンシャルまで、生活のさまざまな場面をつなぐ製品を展開する。
JMOにとって今回の挑戦は、全く異なる領域への進出という位置付けではない。同社はこれまで、自然の恵みを生かしたヘアケアやスキンケアなどを通じ、心地よく美しく過ごすための価値を提案してきた。その美容領域で培った感性や価値をコスメにとどめず、日々の暮らしそのものへ広げることが起点にある。
背景には生活者のライフスタイルの変化もある。家と外の境界が曖昧になる中、自分自身が心地よく過ごせることの価値が高まっている。ヘアケアやスキンケアが香りやテクスチャーを通じて感覚に働きかけるのと同様に、衣服も肌に触れる質感や着心地によって日常の快適さをつくる。ジョンマスターオーガニックグループの大滝雄一郎社長は「今回の取り組みは全く異なる領域への進出ではなく、日常の質を高め、心地よいライフスタイルをつくるという、私たちの価値を広げていく自然な進化だと捉えている」と語る。

ユナイテッドアローズ第三事業本部GLRウィメンズ商品部J準備室の田中安由美室長(写真左)とジョンマスターオーガニックグループの大滝雄一郎社長
数あるファッション企業の中でUAをパートナーに選んだ背景にも、両社の価値観の近さがある。製品を真摯につくり、良いものを顧客に届ける姿勢に加え、日常の中に美しさを見いだす考え方や、一人一人の顧客と向き合う接客への姿勢にも共通点を見いだした。ビューティーとファッションという異なる領域を歩んできた一方、ものづくりの根底にある美意識が重なったことが協業を後押しした。
製品企画はUAが主体となり、JMOが美容の知見を加えながらブラッシュアップした。特に象徴的なのが、衣服にスキンケアの発想を持ち込んだ点だ。一部製品にはアルガンオイルを用いた加工を取り入れ、しっとりとなめらかな風合いを追求。保湿成分を配合した素材を用いる製品などもそろえ、「肌に触れるもの」として衣服を捉え直した。製品開発では、「UAが基本となる企画を行い、JMOと製品内容を見ながらブラッシュアップした。肌に喜びを与えるというコンセプトのもと、加工材などについてもアドバイスをもらいながら作り込んだ」とユナイテッドアローズ第三事業本部GLRウィメンズ商品部J準備室の田中安由美室長は説明する。
製品づくりでは、素材、スキンケア発想、シルエットの三つを重視した。ニットをはじめ、セルロースやコットンなど各製品に適した素材を選び、滑らかな肌触りを追求する。一方で、単なるルームウェアにはしない。リラックス感を備えながらも外出できるシルエットとし、家の中から近所への外出、さらに旅行先までシームレスに着用できるカジュアルウェアとして設計した。
- 定番シリーズに育成する「MOCO」
- MOCOシリーズ
デビュー時は175SKUを投入する。製品はすべてレディースを想定し、リラックスウエアやワンマイルウェアなどだけでなくアウターやバッグ、ブーツなど幅広いアイテムを展開する。定番は空気を含んだ軽やかさとなめらかさのあるニット素材のMOCOシリーズで、フーディロングカーディガン(1万9800円)、ニットロングパンツ(1万1000円)などを扱う。そのほか、ビタミンEを練りこんだ生地を使ったモイスチャーリブシリーズでは、タンクトップ(5940円)やレギンス(7920円)、アルガンオイル加工の素材を使用したアルガンオイルシリーズでは、オープンカラーシャツ長袖(1万9800円)、バックオープンワンピース(1万7930円)、アルパカとポリエステルを混紡した素材の1マイル~3マイルシリーズでは、シアーニットプルオーバー(1万3200円)、シアーニットベスト(1万1000円)などをそろえる。
- ボアロングコート
- タオルなども扱う
- 「UGG」のエクスクルーシブカラーを展開
アウターは、ボアロングコート(3万9600円)など。周辺アイテムは、ハンドタオル(1980円)やフェイスタオル(4950円)ほかも扱う。「UGG(アグ)」のアイコンブーツ(2万7500円)で国内エクスクルーシブカラーや、「TEMBEA(テンベア)」のバゲットトートのミニサイズ(2万5300円)といった別注アイテムなども展開する。
多彩な製品群をそろえるのは、期間限定の協業製品ではなく一つのブランドとして世界観を構築するため。シーズンごとに新製品を投入する一方、MOCOシリーズなどブランドを象徴する定番製品も育てていく考えだ。
販売は、公式オンラインストアで全製品を扱い、グリーンレーベル リラクシングのルミネ新宿店やルミネ池袋店、札幌ステラプレイス店、グランフロント大阪店などでのポップアップで認知拡大を図る。今後の出店にも前向きで、単独ブランドとしての店舗開設を見据えるほか、JMOの既存顧客との接点を生かした展開など、販売チャネルについて幅広く検討していく。
月刊『国際商業』2026年11月号掲載



























