ユーグレナは、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)に含まれる特有成分「パラミロン」の研究開発状況について、免疫機能素材として展開してきたパラミロンについて、慢性腎臓病(CKD)領域への応用や海外展開を進めるとともに、研究開発体制を強化し、新たな価値創出を目指す方針を示した。
共同創業者でエグゼクティブフェローの鈴木健吾氏は、ユーグレナ細胞内に蓄積されるβ-1,3-グルカンであるパラミロンについて、「細菌や真菌の表面構造と類似した特徴を持ち、免疫応答に大きく影響を与えることが知られている」と説明する。
同社は2005年にユーグレナの屋外大量培養に成功して以降、培養技術や精製技術の高度化を進めてきた。現在は石垣島を中心に培養を行い、パラミロン含有量を高めたユーグレナの生産にも取り組んでいる。パラミロンは食品原料や化粧品原料として活用されるほか、ユーグレナ由来のワックスエステルはバイオ燃料原料としても活用が期待されている。
パラミロンに関する研究では、免疫機能への作用に関する知見を蓄積してきた。鈴木氏は「パラミロン単独を大量に供給できる環境が整ったことで、動物試験や臨床試験を進められるようになった」と説明。これまでの研究では、免疫細胞のバランス調整作用やインフルエンザ症状緩和の可能性などが確認されているという。
同社は2025年に神鋼環境ソリューションから「金のユーグレナ」事業を承継。パラミロンに関する研究資産や知見を取り込み、機能性素材事業を強化している。現在は免疫機能維持に加え、睡眠の質改善やストレス軽減などの機能性表示食品素材としての展開も進めており、パラミロンをマルチ機能性素材へと発展させる方針だ。
そのなかでもCKD領域への挑戦が進む。CKD患者は国内で約2000万人に上り、成人の5人に1人が該当するとされる。透析患者は約34万人に達し、医療費負担も大きな社会課題となっている。
同社は動物試験などを通じて、パラミロンが尿タンパク量の抑制や腎組織障害の軽減に寄与する可能性を確認。こうした研究成果を基に、CKD進行抑制を目的としたメディカルフードとしての実用化を目指すという。事業化は3段階で進め、2030年代前半には100億円規模の事業創出を視野に入れる。
鈴木エグゼクティブフェローは、「腎臓病は発症前の段階から日常の食事や生活でケアすることが重要。ユーグレナやパラミロンが腎機能の維持や保護に活用できれば、社会的にも大きな意義がある」と説明した。
また、執行役員兼研究開発担当・R&Dセンター長の小倉拓氏が新たな研究開発戦略について説明。ユーグレナがこれまで強みとしてきた培養技術に加え、自身の専門である界面科学を融合させることで、食品、化粧品、バイオ燃料など各事業領域で新たな価値創出を目指す考えを示した。
界面科学は水と油の境界面を制御する技術で、乳化やカプセル化などを通じて有効成分の吸収性向上や味・においのマスキングなどに活用できる。小倉氏は「界面科学という一つの技術が、食品から化粧品、バイオ燃料まで事業価値を掛け算できる」と説明した。
界面科学の活用によるユーグレナ由来成分を活用したバイオ由来界面活性剤や化粧品原料への展開にも言及し、持続可能性と機能性を両立する新たな素材開発を進める方針を示した。
同社は、「藻を育てる会社」から今後は「藻の新価値を120%創出する次世代バイオベンチャー」への進化を掲げる。鈴木氏と小倉氏の二人を中心に、生物学と化学の知見を融合させながら、ヘルスケア、化粧品、バイオ燃料の各領域で事業拡大を図る考えだ。






















