ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、美容医療施術と医薬部外品有効成分デクスパンテノールW(「メラニンの蓄積を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ」「肌あれ(を防ぐ)」の2種の効能で承認されている有効成分)配合製剤を併用した試験の解析により、美容医療施術とホームケアを適切に組み合わせることの有用性を改めて証明した。

マイクロニードルRF施術(マイクロニードル〈極細針〉を用いてRF〈高周波電流〉を送ることで、肌の治癒力向上を促す施術。毛穴、シワ、ニキビなどの改善効果が期待できる)を行う際のデクスパンテノールW配合製剤併用による複合ケアにより、以下の二つの結果が得られた。

①マイクロニードルRF施術単独よりも角層水分量の減少が軽減する

②マイクロニードルRF施術前よりも皮膚の弾力性が高まる

マイクロニードルRF施術には、コラーゲンやエラスチンの産生を促し、肌のハリや弾力を向上させ毛穴を目立たなくする効果が報告されている(Dong Hye Suh,et al.Journal of cosmetic dermatology.2023,22(5):1507-1512.)。一方デクスパンテノールWには、肌あれを防ぐ効果や細胞のエネルギー産生を促進する作用が確認されている。同試験では、マイクロニードルRF施術とデクスパンテノールWの併用作用により、毛穴改善効果が高まることがヒト試験で確認された。そこで両者を併用した試験のデータ解析を進め、さらに詳しく肌の変化を確かめた。

試験の方法は、日本在住女性30名が、月1回の頬へのマイクロニードルRF施術に加えて、3ヵ月間毎日朝晩、顔の左もしくは右半分の一方にデクスパンテノールW配合製剤を塗った(複合ケア)。また、比較対照として、顔の反対側にデクスパンテノールWの配合されていないプラセボ製剤を塗った(施術単独)。

その結果、複合ケアの方が毛穴の目立ちを効果的に改善することが分かった(図2)。

データ解析を進めたところ、マイクロニードルRF施術に伴う角層水分量の減少が、複合ケアでは施術単独に比べて、施術開始2ヵ月後と3ヵ月後に、有意に抑制されていた(図3)。これは、デクスパンテノールWの肌あれを防ぐ効果により、角層水分量が保たれ、施術が起こす一時的な肌への悪影響が抑えられた可能性が考えられる。

さらに、複合ケアにより施術前に比べて皮膚の弾力性が高まったことも新たに分かった。複合ケアでは、施術前と比べて、施術開始1ヵ月後から弾力性を表す値(⊿Ua/Uf)が有意に増加した。一方、施術単独では増加が認められなかった(図4)。複合ケアでは施術によるコラーゲンやエラスチンの産生促進効果に、デクスパンテノールWの細胞のエネルギー産生促進作用によるコラーゲン産生促進が加わったことで、皮膚の弾力性が有意に高まったと考えられる。また、コラーゲン産生の促進は、毛穴の開きの改善効果向上につながったものと考えられる。

これらのことから、デクスパンテノールWによってマイクロニードルRF施術による皮膚への一時的な悪影響の抑制とともに、細胞の活性が高まった結果、毛穴改善効果が高まったのではないかと推察された(図1)。

ポーラ化成工業では、たるみや肝斑に対しても美容医療施術と製剤によるホームケアとの併用の効果を検証してきた。今後も安全かつ効果の実感しやすいソリューションを提供していくとしている。

なお、同研究はALOOP CLINIC & LABと共同で実施した。