花王の2025年12月期第1四半期業績は、売上高が前年同期比6.6%増の3898億5700万円、営業利益41.9%増の311億8400万円、税引前四半期利益315億7400万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益38.7%増の228億5000万円と増収2桁増益となった。

花王では、今期よりコンシューマープロダクツ事業をグローバルコンシューマーケア事業に、ハイジーン&リビングケア事業をハイジーンリビングケア事業に、ヘルス&ビューティケア事業をヘルスビューティケア事業に改称。また、グローバルコンシューマーケア事業の中にビジネスコネクティッド事業を新設。同事業は、業務用衛生製品(Washing Systems, LLCを除く)とライフケア製品等で構成している。

セグメント別にみると、グローバルコンシューマーケア事業の売上高は4.0%増の2889億円だった。日本市場では、賃上げやインバウンド需要が下支えとなる中、物価上昇による慎重な消費傾向が継続。このような中、DXによるマーケティング手法の高度化、高付加価値製品の提案やその価値に見合った価格改定等に取り組んだ結果、日本の売上高は6.7%増の1847億円となった。アジアの売上高は0.5%減の538億円、米州の売上高は0.3%増の296億円、欧州の売上高は0.8%減の208億円となった。

営業利益は、原材料価格の上昇があったが、稼ぐ力の向上と販売数量の増加が寄与し、前年同期から82億円増の228億円となった。

グローバルコンシューマーケア事業のうち、ハイジーンリビングケア事業の売上高は4.3%増の1245億円、営業利益は対前年同期35億円増の167億円。ファブリック&ホームケア製品の売上高は7.4%増の841億円、営業利益は対前年同期17億円増の143億円。ファブリックケア製品の売り上げは前年同期を大幅に上回った。日本では、市場が伸長する中、高付加価値化等による価格改定を推進。衣料用洗剤「アタック」や、「ニュービーズ」の改良品が好調に推移し、シェア・数量とも拡大した。ホームケア製品の売り上げも前年同期を上回った。日本の食器用洗剤「キュキュット」の売り上げが伸長したほか、「マジックリン」ブランドの高付加価値製品のバスクリーナーやトイレクリーナーが好調を維持している。
サニタリー製品の売上高は1.6%減の403億円、営業利益は対前年同期18億円増の23億円。生理用品「ロリエ」の売り上げは、前年を上回った。中国では「スーパースリムガード」やショーツタイプの新製品が好調に推移し、売り上げ増に寄与した。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、前年同期を下回ったが、日本市場におけるシェアは伸長した。なお、「メリーズ」の営業利益は稼ぐ
力の改革等の取り組みが寄与し、黒字転換した。

ヘルスビューティケア事業の売上高は3.3%増の979億円、営業利益は成長のためのマーケティング投資を強化したこともあり、対前年同期1億円増の67億円にとどまった。スキンケア製品の売り上げはほぼ前年同期並み。日本では、UVケア製品やハンドソープが好調に推移した。米州では「Jergens」において競合との競争の影響を受け、売り上げは前年同期を下回った。ヘアケア製品の売り上げは、前年同期を大きく上回った。日本では厳しい競争環境の中、昨年発売した高価格帯の新ヘアケアブランド「melt」と「THE ANSWER」が計画を上回り、リブランディングした「エッセンシャル」も好調に推移した。欧米のヘアサロン向け製品は、「ORIBE」が好調に推移し、売り上げは前年同期を上回った。パーソナルヘルス製品の売り上げは「めぐりズム」が好調に推移し、前年同期を上回った。

化粧品事業の売上高は6.7%増の583億円、営業利益は注力6ブランドへの投資の集中や人財構造改革、スクラム型の事業運営体制の効果が利益改善に寄与し、対前年同期42億円増となり、5億円の損失にとどめた。日本では、「KANEBO」や「KATE」の新製品、「Curél」がけん引し、注力6ブランドにおいて売り上げは前年同期を大幅に上回った。アジアの売り上げは前年同期を下回ったが、中国では市場売価が回復傾向にあり、また現地生産品も好調に推移している。中国を除くアジアでは、「KATE」や「KANEBO」が大きく伸長した。欧州では、「MOLTON BROWN」の新製品が好調に推移した。

ビジネスコネクティッド事業の売上高は7.5%減の82億円、営業利益は、対前年同期4億円増で1億円の損失と赤字幅は縮小した。業務用衛生製品の売り上げは前年同期をわずかに下回った。外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が引き続き高まったが、病院・介護向け製品等で価格競争の影響を受けた。

ケミカル事業の売上高は14.2%増の1120億円、営業利益は油脂製品を中心に利幅の維持に努めたが原料価格上昇の影響を受け83億円と前年同期比横ばいだった。油脂製品では、油脂原料価格の上昇に伴う販売価格改定の貢献が大きく、売り上げは増加。機能材料製品は、自動車関連等の対象市場の減速はある中でも、海外での回復が寄与し、売り上げは増加した。情報材料製品では、半導体やハードディスク関連分野の需要が堅調で、その着実な取り込みを通じて、売り上げは伸長した。

25年12月期通期業績は、売上高は前年比2.6%増の1兆6700億円、営業利益9.1%増の1600億円、税引前利益7.9%増の1630億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益7.6%増の1160億円と、期初予想を据え置いた。