花王の2024年12月期通期業績は、売上高は前年比6.3%増の1兆6284億4800万円と増収、営業利益144.3%増の1466億4400万円、税引前利益136.6%増の1510億2400万円、親会社の所有者に帰属する当期利益145.7%増の1077億6700万円と増収大幅増益となった。利益は、 構造改革効果に加え、国内トイレタリーとケミカルの貢献により、売上総利益率が1.9ポイント改善したことなどにより大幅な増益となった。

セグメント別の業績は、コンシューマープロダクツ事業が、売上高4.8%増の1兆2682億円、営業利益は126.1%増の1128億円。ケミカル事業が売上高10.9%増の4059億円、営業利益が46.6%増の346億円といずれの事業も増収増益となった。

コンシューマープロダクツ事業のうち、ハイジーン&リビングケア事業は、売上高は4.2%増の5443億円、営業利益は277.1%増の758億円。そのうち製品別の業績は、ファブリック&ホームケア製品はスクラム型の組織運営により商品開発のスピードアップと高付加価値化の推進が順調に進んだ結果、売上高が7.6%増の3757億円、営業利益は34.9%増の684億円。ファブリックケア製品では、日本では10月まで猛暑が続き洗濯頻度の増加等により市場が伸長する中、衣料用洗剤等の新製品・改良品が好調に推移し、シェア・数量ともに拡大した。また、衣料用漂白剤「ワイドハイター」が好調に推移し、柔軟仕上げ剤は回復傾向にある。ホームケア製品は、日本では食器用洗剤「キュキュット」の改良等によりシェアが継続して伸長したほか、「マジックリン」ブランドの新製品・改良品が好調に推移。特にトイレ用クリーナーが大きくシェアを伸ばした。サニタリー製品の売上高は2.8%減の1686億円、営業利益は73億円と黒字化した。生理用品「ロリエ」は、日本では高付加価値の新製品「しあわせ素肌もちふわfit」等が好調に推移し、売り上げが伸長。中国の売り上げは「スーパースリムガード」等の新製品が好調に推移し、前期を上回った。ベビー用紙おむつ「メリーズ」は、日本の売り上げは中国向け等の輸出が減少したことで前期を下回ったが、シェアは伸長した。

ヘルス&ビューティケア事業の売上高は7.9%増の4240億円、営業利益15.1%減の344億円だった。スキンケア製品は、日本では「ビオレ」のメイク落としや、UVケア製品、シート関連の新製品等が好調に推移。「グローバル・シャープトップ戦略」のもと展開しているUVケア製品を含む「スキンプロテクション」のビジネスは計画通り進捗している。また、23年11月に買収したプレミアムスキンケアブランド「Bondi Sands」の売り上げも寄与した。ヘアケア製品は、日本では「ケープ」の新製品、リブランディングした「エッセンシャル」が好調に推移したほか、新ヘアケアブランド「melt」「THE ANSWER」が計画を上回り、新プレミアム戦略を着実に推進。欧米では、「JOHN FRIEDA」の新製品が好調に推移したほか、ヘアサロン向けでは米国の「ORIBE」がEコマースを中心に好調に推移、欧州では「GOLDWELL」も伸長したことで前期を上回った。

ライフケア事業の売上高は0.7%減の559億円、営業利益は、事業譲渡益の計上等により63億円と黒字化した。業務用衛生製品は、日本では外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品・清掃品の需要が高まったが、消毒剤の市場縮小が続き、売り上げはほぼ横ばい。米国では新製品による新規顧客の獲得等で、売り上げは前期を上回った。

化粧品事業の売上高は2.3%増の2441億円、営業利益は37億円の欠損となったが、赤字幅は縮小した。日本の売り上げは、市場が順調に推移する中、「KANEBO」がけん引し、「ソフィーナiP」「キュレル」「SENSAI」等も好調に推移したことで、前期を上回った。中国を除くアジアでは、OMOの取り組みをより一層強化することで、「キュレル」「KATE」等が好調に推移した。一方、中国においては、市場伸長鈍化に加え競争環境激化が続く中、出荷抑制による流通在庫の適正化を実施。その結果、アジア全体の売り上げは前期を大幅に下回った。欧州の売り上げは、「SENSAI」の最高峰シリーズや唇用エイジングケア美容液「トータルリップトリートメントスティック」が好調に推移したこと、また「MOLTONBROWN」が堅調に推移したこと等により、前期を上回った。

25年12月期通期業績は、売上高2.6%増の1兆6700億円、営業利益9.1%増の1600億円、税引前利益7.9%増の1630億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は7.6%増の1160億円と増収増益を見込む。