要指導医薬品・一般用医薬品(OTC医薬品)業界を代表する加盟5協会からなる日本一般用医薬品連合会は11月6日、セルフメディケーションシンポジウム「医療におけるOTC医薬品の価値」を東京・日本橋において開催した。

シンポジウムでは、東京大学大学院 薬学系研究科 医療政策・公衆衛生学の五十嵐中特任准教授が「スイッチOTCによる医療費削減のポテンシャル」のテーマで基調講演。五十嵐特任准教授は、コロナを経て国民の意識に変化が生じており、医療財源だけではなく、「モノやヒトに限りがあると実感している」と指摘。自分の健康は自分で守るというセルフメディケーションの機運が高まりつつあることを受け、OTCの役割を議論する機会が訪れているとした。

また、OTC医薬品への置き換えによる医療費削減効果について24年に実施した調査では、生活習慣病関連5疾患に限定し推計を行った。1年以上の間、同一薬剤1剤のみの投薬を受け、併発疾患がない「状態が安定している患者」を対象に医薬品をOTCに置き換えると、1123億円の医療費削減が可能になることを示した。

こうした調査結果を現実のものとするために、今後は患者および国民の行動変容を促す仕組みの社会実装がカギになることを強調した。

月刊『国際商業』2025年01月号掲載