新日本製薬は、独自コラーゲンの「VCコラーゲン」、「ムラサキ発酵コラーゲン」、「プラセンタコラーゲン」、「プロテクトコラーゲン」が睡眠中に分泌する成長ホルモンとの組み合わせにより、コラーゲン産生を促進する効果を確認した。今後、これらを応用したスキンケア商品の開発を進めていく。
「VCコラーゲン」はビタミンCとコラーゲンを結合させた世界初の独自コラーゲン。コラーゲンが持つ保湿作用に加えて、ビタミンCが持つ抗酸化作用とコラーゲン産生促進作用を持つことを確認し、特許を取得している。(登録番号:特許第6727468号、登録日:2020年7月2日、発明の名称:化粧料の製造方法)
「ムラサキ発酵コラーゲン」は乳酸菌でコラーゲンを発酵させた世界初の独自コラーゲン。未発酵のコラーゲンと比較してアミノ酸量が豊富であること、またヒアルロン酸の産生効果が高まることを確認し、肌の保湿力や弾力性向上などの美容効果が期待される。
「プラセンタコラーゲン」は一般的なプラセンタエキスと比較して約9倍のコラーゲンを含有する独自コラーゲン。線維芽細胞増殖作用、Ⅲ型コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用があることを確認し、肌のハリや弾力の維持、シワの予防等への効果が期待され、特許査定を受領している。(出願番号:特願2021-56719、受領日:2021年9月8日、発明の名称:化粧料組成物の製造方法)
「プロテクトコラーゲン」は水溶性のコラーゲンとリン脂質を結合させた独自コラーゲン。コラーゲンの浸透性とバリア機能を高める効果が期待され、特許を取得している。(登録番号:特許第7466852号、登録日:2024年4月5日、発明の名称:コラーゲンペプチドを含む組成物を製造するための方法)
睡眠の質が低いと成長ホルモンやインスリン様成長因子(以下、IGF-1)の分泌が減少し、肌の回復力の衰えや、老化を引き起こすことが分かっている。
新日本製薬は、肌の大部分を占めるコラーゲンがアンチエイジングにおいて重要と考え、長年、独自コラーゲンの開発に積極的に取り組んできた。これらのことから、今回、睡眠の質と美肌の関係に着目し、独自コラーゲンと成長ホルモンの組み合わせがコラーゲン産生を促進し、肌の回復力を高める眠り美容の活用に期待できるのではないかと考え、本研究に取り組んだ背景がある。
独自コラーゲンの「VCコラーゲン」、「ムラサキ発酵コラーゲン」、「プラセンタコラーゲン」、「プロテクトコラーゲン」を成長ホルモンとともにヒト皮膚線維芽細胞に添加し、IGF-1の作用を検証した結果、IGF-1の遺伝子発現量、IGF-1受容体の遺伝子発現量が増加し、コラーゲン産生を高める効果を確認した。
成長ホルモンを0.2ミリリットル添加したヒト皮膚線維芽細胞の加齢モデル細胞(以下、加齢モデル)、成長ホルモンを2ml添加したヒト皮膚線維芽細胞の若年モデル細胞(以下、若年モデル)、成長ホルモン未添加のモデル細胞(以下、未添加)をつくり、検証を行った。
グラフは、未添加のモデルを「1」とした場合のIGF-1の遺伝子発現量を表している。加齢モデルに「VCコラーゲン」を単独添加することで、IGF-1の遺伝子発現量が増加することを確認した。また「VCコラーゲン」と「ムラサキ発酵コラーゲン」、「プラセンタコラーゲン」、「プロテクトコラーゲン」をそれぞれ組み合わせて添加したことで、IGF-1の遺伝子発現量が増加することを確認した。特に「ムラサキ発酵コラーゲン」との組み合わせでは、若年モデル以上の効果が示された。
加齢モデルに「VCコラーゲン」と「ムラサキ発酵コラーゲン」、「プラセンタコラーゲン」、「プロテクトコラーゲン」をそれぞれ組み合わせて添加したことで、IGF-1受容体の遺伝子発現量が増加することを確認した。特に「ムラサキ発酵コラーゲン」との組み合わせでは、若年モデル以上の効果が示された。
加齢モデルに「VCコラーゲン」、「ムラサキ発酵コラーゲン」、「プラセンタコラーゲン」、「プロテクトコラーゲン」を単独添加した場合、コラーゲン産生量が増加することを確認した。さらに、「VCコラーゲン」と「ムラサキ発酵コラーゲン」、「プラセンタコラーゲン」、「プロテクトコラーゲン」をそれぞれ組み合わせて添加した場合にも、コラーゲン産生量が増加することを確認し、特に「ムラサキ発酵コラーゲン」との組み合わせでは、若年モデル以上の効果が示された。
IGF-1の分泌は、質の低い睡眠や加齢により減少する。そのため、睡眠中のIGF-1の分泌を促すことは、肌を回復させるための有効な手段と考えられる。しかし、IGF-1が増加しても、それを受け入れる細胞の受容体が増加しなければ、細胞の活性化やコラーゲン産生には効率的につながらない。本研究により、独自コラーゲンが睡眠中のIGF-1遺伝子およびIGF-1受容体の遺伝子の発現を促進することが確認されたため、成長ホルモンとの相乗効果により肌の回復をサポートする眠り美容の効果が示されたと考えられる。
新日本製薬は、美と健康の領域で「新しい」価値を届けるため、スマート“ライフ”サイエンスという研究方針を掲げて研究開発を行っている。特にコラーゲンと絶滅危惧種の薬用植物「ムラサキ」の研究に力を入れ、コラーゲンに関する特許を四つ、ムラサキの栽培に関する特許を一つ、紫根に関する特許を一つ取得している。