資生堂と東京大学は、美が肌・身体・心にもたらす影響と効果を科学的に解明することを目的に、農学生命科学研究科、工学系研究科、人文社会系研究科、および教育学研究科による文理を超えた社会連携講座「五感が創発する肌・身体・心の美」を開設し、2024年10月1日より共同研究を開始した。

本共同研究では、分子感性工学に基づく心地よい五感を創出する物質や基剤の設計、五感が肌・身体・心に与える影響を脳や身体の反応を通じて科学的に分析・可視化する手法の開発、ならびに美しいものに触れたり、自己を美しいと感じたりすることが個人の心理状態や自己、他者、社会に与える影響の解明などに取り組む。これにより、資生堂が掲げる2030年のビジョン「Personal Beauty Wellness Company」の実現に向けて、共同研究から得られた研究知見を化粧品やサービスなどの価値開発に応用し、一人一人が生涯を通じて自分らしい健康美を実現できる社会を目指す。

社会連携講座の概要は以下の通り。

美がもたらす影響は、見た目を美しくするといった表層的な効果だけでなく、心地よい感情や自己肯定感、社会的繋がりの促進、さらには心身の健康にもつながると考える。本研究では、美が肌・身体・心にもたらす影響と効果を科学的に解明し、美のさらなる可能性を見出すとともに、社会的価値といった新しい側面も解き明かしていきたいと考えている。

講座名は社会連携講座「五感が創発する肌・身体・心の美」。

設置期間は2024年10月1日〜2027年9月30日。

共同研究内容は、

・分子感性工学に基づく心地よい五感を創出する物質・基剤の設計。

・五感(触覚、嗅覚など)によって引き起こされる肌・身体・心の健康および感情を、脳活動や生理反応(ホルモンなど)に基づいて可視化する手法の開発。

・美しいものに肌が触れたり、自己を美しいと感じたりする際の個人の心理状態と、それが自己(皮膚ガスなど)、他者および社会に与える影響の解明。

・社会心理学的に明らかにされた美の効果を脳科学や生理学的に検証。

といったもの。

連携する研究科は、大学院農学生命科学研究科、大学院工学系研究科、大学院人文社会系研究科、大学院教育学研究科の4科。

共同研究メンバー構成は、
東原 和成 東京大学大学院農学生命科学研究科・教授
岡本 雅子 東京大学大学院農学生命科学研究科・准教授
鄭 雄一 東京大学大学院工学系研究科・教授
片島 拓弥 東京大学大学院工学系研究科・講師
針生 悦子 東京大学大学院教育学研究科・教授
村本 由紀子 東京大学大学院人文社会系研究科・教授
加治屋 健太朗 株式会社資生堂みらい開発研究所・センター長
杉山 由紀  株式会社資生堂みらい開発研究所・室長

となっている。

また本研究は資生堂R&D戦略3本柱の1つである「Future Beauty INNOVATION」のもと、肌・身体・心の関係性を明らかにすることを目的として進めている。