コーセーは、同社のウェルビーイング領域の取り組みとして新インナービューティブランド「Nu⁺Rhythm(ニューリズム)」を立ち上げる。その第一弾商品として、「酵母プロテイン」を主原料に、森永製菓が独自開発した健康素材「パセノール」などを配合した美容プロテイン「イーストプロテイン アソートセット」 (1品目1品種、ノープリントプライス)を、同社の直営店およびオンラインサイト「Maison KOSÉ」にて2024年9月20日より発売する。

発売に先立ち、9月10日には発表会を開催。経営企画部部長の原谷美典取締役が挨拶をしたのち、ニューリズムの誕生および第一弾商品の開発経緯について、同社経営企画部経営戦略室の田中健一室長、同事業開発課菅井蔵氏が説明した。

昨今、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの健康維持に必要な栄養素が不足している「新型栄養失調」が問題視されている。中でもたんぱく質は体のあらゆる組織をつくる材料となるため、身体全体の健康維持だけでなく健やかな肌を保つためにも日常的に摂取することが推奨されている。が、プロテインマイスターの資格を持つ菅井氏は、「20・30代の方は1950年のたんぱく質摂取量と一緒ともいわれている。忙しい中でライフプランを立てていく中でも健康であってほしい」と現状の課題と思いを語る。

こうした中、コロナ禍によるセルフトレーニング、セルフケアの需要増もあり、効率的かつ手軽にたんぱく質を摂取できる栄養補助食品「プロテイン」へのニーズが拡大している。しかし、コーセーの調べによると、たんぱく質の重要性を認識していながら、「プロテインはスポーツやトレーニングをしている人向けのもの」、「健康や美容には関係ない」などといったプロテインに対する偏ったイメージを抱いている人がいることが分かった。

またプロテイン摂取は離脱者も多く、同社の調べによれば33%もの人が摂取したことはあるが継続摂取できていない現状だという。その理由はさまざまで、「運動しなくなったから」「目に見える効果感を感じられないから」「飲むための準備が面倒だから」「イメージがあまり良くない」などが挙げられた。

そこでコーセーは、そうした課題を乗り越える美容プロテインを開発。丁寧な商品紹介、顧客の求める成分などとともに、継続しやすい使用感のよさ、美味しさ、洗練されたデザインなどにこだわった。

まず主原料として、パン酵母から抽出した高たんぱく質原料「酵母プロテイン」を配合。酵母プロテインは、高い栄養価を持ちながら、牛(ホエイ)や大豆(ソイ)由来のプロテインに比べ、製造時の環境負荷が少ない。循環型の生産プロセスで製造されることなどから、サステナブルなプロテインとして海外を中心に注目を集めている。

加えて、森永製菓が独自開発したパッションフルーツ由来のポリフェノール「パセノール」を採用。さらに美容成分として、一日に必要な量の3分の1相当の11種類のビタミン、コラーゲンペプチド1000ミリグラム、プロテイン摂取による腸内環境改善をかなえる乳酸菌を25億個相当、GABA30ミリグラムを配合。

さらに「大袋から1回分の量を掬い取るという作業が面倒」「仕事場などで摂取したいときに、シェイカーで混ぜるのが恥ずかしい」などの声があることから、同商品は1回分ずつに分けた個包装タイプ。シェイカーなしでも摂取できるよう溶けやすさにもこだわっている。

フレーバーは、「リッチココア」「ほうじ茶ラテ」「パッションフルーツ」「コーンスープ」の4種類を展開。間食代わりに楽しめる甘みのあるものから、お湯で溶かしてスープとして飲むことができるものなど幅広いテイストを用意し、アソートタイプにすることで選ぶ楽しさも提供。

外箱や内包パッケージは、優しいカラーリングと洗練されたイメージで統一。出先で使用した際に、あえてプロテインらしさを感じさせないデザインを採用した。

コーセーは現在、祖業である化粧品領域から提供価値を拡大し、周辺領域の新たな事業展開に挑戦している。ニューリズムは、社内公募型新規事業創出プログラム「LINK」から生まれたブランドで、起案から1年間で上市に至るという、これまでにないスピード感で誕生している。田中室長は発表会で「提案者の新規事業にかける熱い思いと、会社として取り組まなければいけないという意識が重なった結果だと思っており、コーセーの事業領域拡大の次の一手となる」と語った。

インナービューティ立ち上げによって、お客の「美しく健やかな毎日を送りたい」という気持ちに寄り添い、一人一人のトータルビューティをかなえるとともに、ウェルビーイング領域に対する取り組みを進め、化粧品にとどまらない新しい価値創造を目指す考えだ。