ライオンは、企業が取り組む環境対応として、使用済みハブラシの回収・リサイクルを促進している。この取り組みを通じて、誰もが参加できるリサイクル活動の場を提供するとともに、自治体の資源回収事業と連携したリサイクルを推進している。本活動は、2015年6月の開始から2024年5月で丸9年となった。この間に回収したハブラシは、累計21.7トン(約173万5000本)となった。
同社は、オーラルケアのリーディングカンパニーとして、商品やサービスの提供だけでなく、長きにわたり、啓発活動や情報提供等を通じて、生活者の歯とお口の健康維持に取り組んできた。その一環として、ハブラシは使い続けると毛の弾力がなくなり、毛先が開いたり、汚れを落とす力が2割から4割低下したりすることから、毎月8日を「歯ブラシ交換デー」とし、毎月1回定期的にハブラシを交換することを呼びかけている。
一方で、ハブラシは、子どもから大人まですべての生活者にとっての生活必需品であり、年間で約4億5000万本が消費されている。しかし、プラスチックを主原料として作られているものが多いハブラシは、これまで、埋め立て地に送られたり、焼却されたりしており、資源として活用する場がなかった。
そこで、同社はハブラシを製造・販売するトップメーカーとして、プラスチックの再利用を推進すべく、2015年より使用済みハブラシを回収・リサイクルし、再資源化する取り組みを開始した。この取り組みでは、メーカーを問わず、家庭から出るハブラシのすべてを対象としている。生活に欠かせないプラスチック、それを廃棄するのではなく再び使えるものにすることで、環境への負荷軽減、循環型社会に貢献していくことも同社の責任であると考えている。社会との共創およびリサイクル技術の革新を推進し、2050年までにプラスチックの高度な資源循環を目指していく。
<具体的な取り組みと回収実績>
(1)テラサイクルジャパン合同会社との提携「ハブラシ・リサイクルプログラム」
2015年6月から、テラサイクルジャパンと提携し、アジアで初めて生活者がハブラシのリサイクルに参加できる仕組みを提供した。個人や団体、どなたでも無料で参加できるプログラムだ。
・期間2015年6月~2024年5月
・登録回収拠点1448登録
・回収実績20.4トン(約163万本)
(2)自治体との連携
2020年からは、ハブラシリサイクルが生活者にとってより身近な習慣となるよう、生活の基盤である自治体との連携を開始した。それぞれの自治体における連携開始からの回収実績は、以下の通り。
<墨田区>
・期間2020年4月~2024年4月
・回収拠点:墨田区役所本庁舎をはじめとした公共施設、区内全公立小・中学校および区内全公立保育園など計47ヵ所
・回収実績750キログラム(約6万本)
<板橋区>
・期間2022年8月~2024年3月
・回収拠点:板橋区役所本庁舎、児童館及び図書館をはじめとした公共施設、地元商店街など計43ヵ所
・回収実績430キログラム(約3万4000本)
<台東区>
・期間2023年4月~2024年4月
・回収拠点:台東区役所本庁舎をはじめとした公共施設、ユニクロ2店舗(浅草店、御徒町店)、区立小中学校(学校関係者対象)の計48ヵ所
・回収実績142キログラム(約1万1000本)
9年間のハブラシリサイクル活動で回収した使用済みハブラシの実績は、21.7トン(約173万5000本)となった。いずれの活動においても、現在も継続して回収を進めている。
誰もが使うハブラシを通じて、「人々の健康」と「地球の健康」に向けた取り組みを、引き続き推進していく。このビジョンを達成するためには、多くのステークホルダーの理解と協力・共同が必要となる。
「循環し続けるプラスチック利用」を目指し、ハブラシを捨てるからリサイクルする習慣となるよう、また社会に根付く活動になるよう、今後は自治体と連携した取り組みを拡大していく予定だ。また、回収したハブラシを質の高い再生樹脂にリサイクルするための技術開発や、有益性のある再生品の開発についても追求していく。