ライオンは、TANOTECH社、筑波大学とともに、AMED 国立研究開発法人日本医療研究開発機構の令和5年度「ロボット介護機器開発等推進事業」にて採択された「リアルサイバースポーツ環境を作るコミュニケーションロボット」事業を通じて、「科学的×楽しい」に基づく「運動習慣づくり」を推進し、高齢者がより活き活きと暮らす社会の実現を目指している。このプロジェクトの中間報告として、3月13日に有明セントラルタワーにてカンファレンスを開催した。

TANOTECH社が提供するコミュニティロボットTANOは、バーチャルレクリエーションゲームコンテンツを備え、その司会進行を全て務めることのできるロボットだ。赤外線センサーによって、参加者の身体の動きを捉え、ゲームに反映。フリースローなど身体を動かす多数のゲームを取りそろえおり、既に国内で約400施設、海外で約300施設に導入されている。ライオンはTANOを通じて、高齢者のフレイルやロコモティブシンドロームを防ぐために必要な運動習慣づくりを行うことを目指している。

同カンファレンスでは、三田村勉社長がコミュニティロボットの概要やここまでの歩みについて説明した後、ライオンビジネス開発センター統括部ビジネスインキュベーション室の斎藤貴大氏が、実際に施設で利用したときの様子について説明。こうしたレクリエーションゲームにおいて、身体的な特徴よりもむしろ利用者の内面的な特徴に合わせたアプローチが重要であるとの仮説を立てた。「これまで我々が進めていた中で、参加者一人一人がどうやったらしっかり動けるだろう、どうやったら理解できるだろうと、個人に注目して進めてきましたが、今回の実証では『失敗したらどうしよう』といった、心理的安全性が低い状態がゆえの課題が顕在化しました。今後は、ゲームを始める前の環境づくり、またロボットからしっかりと自分を見て褒めてもらえるなどの要素にも注目して、プロジェクトを実施していきたい」(斎藤氏)とし、今後のさらなる機能の拡充、運用の方針に期待を寄せた。

月刊『国際商業』2024年05月号掲載